ある日、森で狩りをしていた王子達は、湖のほとりに出ました。



「美しいですねー、何やらいいポエムが書けそうです」
1人の青年が口を開きました。
それを聞き、一緒にいた男性が答えます。
「あー、あのやたら甘いこっ恥ずかしいやつな」

「失礼ですね!」

「しっ!」


静止を促され視線を向けると、湖では美しい白鳥が泳いでいました。

王子達は白鳥を狙いました。


「ちょっと待て。射つのをやめろ」

王子が叫びました。


王子の視線の先には、ほとりの脇、森の隅に2匹の子豚が。


「あちらの方がいい獲物になりそうですね」


王子の家来の柳生が子豚に銃を定めます。




「!?待て待て!よう見てみんしゃい」

しかし再び王子が叫びました。

子豚達が次々に、人間の男の子に変身していくのです。
「惜しい事をした…」




少年達は王子達に気が付きません。
王子達は馬から下りると少年達の傍へ行きました。







「俺は王子の雅治。これはどういうわけじゃ?」


赤髪の少年ブン太が答えました。
「オレはブン太、こいつはジャッカル。…オレ達は魔法使いの幸村に、魔法で子豚の姿にされたんだ」


「なんて酷い事を…。しかし何でそんな魔法を?」


「…幸村が描いてた水彩画に落書きしたんだ…ジャッカルが…」


「俺かよ!お前だろ描いたの!?」


ブン太と共に子豚にされた少年ジャッカルが答えました。



しかし王子の視線はブン太に釘付けです。
王子は可愛らしいブン太を一目で好きになりました。


「俺が魔法使いの幸村をやっつけて、魔法を解いてあげるなり」


「王子、そんな危険な事はおやめなさい!」


柳生は懸命に引き止めます。


「うっさいのー、俺に何かあったらお前さんが俺の変装すればよか」


王子がそう言った時、突然バタバタとフクロウが襲い掛かってきました。



「うわぁっ、幸村だ!」
口々に騒ぎ始めます。


「フフ、生意気なボウヤだ!」

それは魔法使いが化けたフクロウだったのです。


王子達は剣を抜いて戦い、フクロウの魔法使いを追い払いました。



「ありがとう、雅治」

「ブン太、どうしたら魔法は解けるんかのぅ」


「王子がみんなの前で、オレにプロポーズしてくれれば、オレ達は人間に戻れるんだ」


「そうか、わかったぜよ。明日の夜、城で俺の結婚相手を決めるパーティーがあるんよ。その時にお前さんにプロポーズするなり」


王子がそう言うと、男の子達はまた元の子豚の姿になって、森の奥へて戻っていきました。



茂みにはフクロウが潜んでいた事に気付かずに…。





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