1《知らなかった事実篇》

※未来捏造・丸→仁?・丸井のみ。
本当ごめんなさい…。










「へー、あいつ個人で店出したんだ!スゲーじゃん!!しかも2店舗目も出店予定とか。今度特集組ませてもらえるか聞いてみっか。んじゃ次は、っと」


偶然入った小さなレストランで、卒業以来に専門学校時代の同級生に再会した。

相手は仕事中とあり、大して話せなかったオレは家に帰るなり、懐かしい友人達の近況を検索してみているわけだ。
ちなみにオレは、グルメ雑誌の編集者。
美味いの食えるし、国語が得意だったオレには天職だと思ってる。





「まぁなー、幸村くんて言ったら試合結果とかだよな」



わりとよく会う専門メンツは良しとして。
今度気になり始めたのは中学高校と一緒だった部活仲間。
やはり、まず気になるのは全国から神の子と恐れ崇められていた部長だろう。


彼は現在プロ選手として世界を飛び回っているのは知っているが、どうやら神の子のテニスは今も健在らしい。
仲間として戦っていた頃は頼もしかったが、今となっては相手の選手がとても気の毒だ…。





「真田は…今警官やってるって聞いたし、いっか」



部長と来たら次は副部長か。
当時老け顔だと冷やかしていたあいつは、今では貫禄十分な交番勤務だと聞いた。
…ぜってー道とか尋ねたくねぇな。





幸村くんに真田と来たら、

「柳蓮二、っと。……えーっと?へー、都内の大学で教授やってんだ。しかも顔変わってねー!」



柳は心理学を教えているらしい。
講義中らしき写真の人物は、あの頃と同じで見えてるのどうかわからない糸目をしている。


「データだけで相手の言動読めちまうんもんなぁ…柳らしいな」





「柳生は……おぉ!すげー該当数!あー、そっか医者だからか。しかも今話題の外科医だっけ?」



柳生は整形外科医になったと聞いた。
…しかも美容だぜ?紳士が美容外科医ってどうよ、とか正直思った。
だけどレーザービームとか、仁王と入れ替わって試合してたような奴だから、変身させたい願望も強かったんだろう、…たぶん。
しかも紳士振りは変わってないみたいで最近は雑誌でも話題になりつつあったりもする。





「ジャッカルは…この前会ったから別にいいな、あいつが該当するわけねぇし」



かつてのダブルスパートナーとは、唯一今でも頻繁に遊んでいる。
と言うのも、ジャッカルが世話焼きだからこまめに連絡が来るからだ。
ちなみにあいつは、親父さんのラーメン屋継ぐみたいで今はまだまだ仕込みやら調理やら修行中の身らしい。





「次はー、ワカメっと……えー、いくら国産でもこの値段はぼったくりだろっ!って違う違う、切原赤也っと」



…わりぃ赤也。
素でワカメって検索しちまった。
あの通販サイトは怪しすぎだ。



「え、あいつテニスクラブでコーチしてんの?すげー意外!」



あんなに日本一目指してギラギラしてた奴がなぁ。
人って変わるもんだな!
プロにならなかったのはやっぱり英語の成績だよな、あいつの場合…。





「あとは……仁王雅治…」



1番の不安人物だ。
秘かにオレは恋焦がれていたのに、こいつだけ高校卒業と同時にぱったり連絡が途絶えた。
アド変や機種変の連絡さえないまま音信不通。
男相手にと悩んでいたオレの気持ちも、いつしか思い出となった。



「………高3ん時の大会記録だし」



ヒットしたのはテニスの大会での記事や記録だけだった。
正直かなり安心した。
コート上のペテン師が、マジで詐欺師とかなって悪い話題で名前出てきたらどうしようかと内心ヒヤヒヤしていた。



「…ん?何だ、このブログ?」



テニスと関係なさそうなサイトが表示されていて、何となく開いてみた。



「『ハルカのぴよぴよブログ』…?」



「!?!?!?」



開いた途端、オレの思考は停止した。



…仁王が、あの仁王が女になってる!?



ぴよぴよブログを更新しているらしい人物ハルカ、の写真は口元にホクロと切れ長の眼、そして銀髪巻き髪のまさしくホステス…ブログプロフを見る限り仁王だ。



まさか性別騙してるとは思わなかったぜ…。





しばらく放心した後、落ち着いた頭で考える。
とりあえず、仁王の現状がわかった。
ショックもだいぶある。
それでも。
オレは男で、今仁王は女…になったわけだから。



まずは、取材と称してハルカを指名して会いに行ってみようかな。








おわり

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