霜柱〜新春お年玉企画〜
ザクザク
「あ」
「どしたん?」
初詣に来た神社の境内。
三ヶ日を過ぎた今の時期は、昼間だと言うのに思ったよりも空いていた。
「霜柱」
「ああ」
とは言え家族連れも多くいる為、少しよけようと参道から外れた木陰を歩けば、そこはまだまだ冬の朝の名残があった。
「珍しいのぅ」
「だな」
ブン太が楽しそうに笑う。
「うちの近所公園あるじゃん?弟達に霜柱見せてやりたいけど朝なかなか起きねえんだよなぁ」
「仕方ないぜよ。今の時期、朝は布団から出たくないけん」
「だからって今日の遅刻はチャラになんねえから!」
今朝の寝坊を正当化しようと弟達に同意するも、ブン太は俺には厳しいらしい。
「とりあえず、参拝終わったらたい焼きシクヨロ」
先程行列の出来ていた屋台を思い出す。
「…はい」
「熱々だぜー」
「俺らみたいに?」
新年早々薄くなるだろうお財布にため息を漏らしつつ、食い物の話題で早速顔を綻ばせたブン太をからかうとたこ焼きが追加されたのだった。
(やーりぃ!大吉♪)
(愛情運、遅刻厳禁…ぴよっ)
おわり
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