TOKYO 2020







「7年後だって」


「オリンピックな」


朝からニュースは東京に決まった五輪の事で持ちきりだ。
五輪と言えばスポーツの祭典。
テニスをしていた俺達の関心ももちろん向く。






「オレらは22歳か」


「そうやね」


部活も引退して予定のない日曜日。
ブン太から昼飯を食いに行こうと連絡が来たので、近くのマックまで出てくるとやはり話題はその話から始まった。




「幸村くん出場してたりして!」


「あり得そうだな」


ポテトをつまみながら楽しそうに話すブン太。
しかし先日の全国大会で敗北した事を気にしているようにも思えた。

それでも、まだ7年ある。
これから先、病も完治してテニスを続けていけばあいつなら金メダルも夢ではないだろう。




「…何か言う事ねえの?」


ジュースを一口飲んでこちらを窺う。


「みんなで応援行きたいのぅ」


「………うん」


期待された言葉を言わずにいると、見るからにシュンとしたブン太が可愛い。


「7年後も変わらず俺と一緒におって」


ポテトをつまみブン太に差し出すとそれに視線を寄せる。


「あーんして」


促せば顔を赤くしつつもパクリと口にした。


「とか言ってお前が出てたらウケる」


照れ隠しにそんな事を言うからもう1本と手を伸ばすとはたかれた。








おわり


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