暑い熱い夏

※とても短いです








「…ん、…」

夏休み。
大会を目前に控えた俺達テニス部は、久しぶりに休息日となった。


休みなのだから日頃の疲れを取る為にも今日は寝て曜日にするつもりだ。
しかし家族が出払い俺以外留守となった家のインターホンが鳴り響く。
ここは居留守を決め込んで…そう思っていると今度は携帯が着信を知らせた。


「早く開けろ、外あちぃんだよ」


相変わらず唐突だ。
来る前に連絡を寄越せばいいのに。
これで本当に俺も出かけていたらコイツはどうしただろう。
こんなに暑い中、ずっと…。


「いらっしゃい」

「やっぱ居留守かよ」

玄関を開けると不機嫌にそう言われた。

「ブン太が唐突なんじゃ、来る前に連絡しんしゃい」

「うっせ、連絡したらどうせメンドイとか断るじゃん」

「プリッ」


ブン太の言う通りだから否定はしない。
いくら恋人でもたまには1人で休みたい時もあるのだ。


「おじゃましまーす」

「俺以外出掛けとるから気にせんでえぇよ」

文句を言っていたのも玄関をくぐれば素直なもので。
その様子に笑みをこぼせばまた不機嫌そうに眉を寄せた。


「何だよ」

「いや、ブンちゃん可愛ええなぁと思って」

「あ?お前暑さで頭沸いてるだろ」

「酷っ、自分から押し掛けて来といて」

ペタペタと響くフローリングを歩く音。
母親が在宅ならばスリッパを出しただろうが、素足には裸足の方が心地好い。


「で?今日はどしたん?」

部屋に入り床に腰を下ろす。

「んー?いや特に用はないんだけどさ…」

同じように座ったブン太に問い掛ければ、少しずつ視線を逸らし小声になっていく。
突然やってきておいて用はありません、だなんて俺が怒るとでも思ってるのだろうか。


「ふふ」

「んだよ、キモいな」

ブン太の肩に寄り掛かると少し迷惑そうな声がした。

「こんな暑い中、わざわざありがとうな」

「…バーカ」







おわり



補足・暑さに弱い仁王を気にかけての突撃訪問

[ 30/68 ]

[next#]




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -