※右耳の秘密

最近気付いた事がある。

仁王はセックスの最中、必ずオレの左耳を塞ぎ右耳に何かしらを囁くのだ。

そしてその行為自体がとても気持ち良い事も。












あ、くる…



そう意識して、オレは目を閉じると快楽を逃がすように躰をねじると左耳を枕に強く押しつけた。



「ブン太、エロい…っ」



右耳に寄せられ入り込んだ仁王の声が脳内を駆け巡り、とてつもなく気持ちがいい。



オレをこんなふうにしたのは仁王だ。
そしてこんなオレを知っているのも仁王だけ。
仁王がオレで感じてるのかと思うとゾクゾクする。





「っあ、…はぁ…に、ぉ…」


仁王の声も、体温も、圧迫感も。
仁王に与えられるモノすべてが快感で、オレは仁王の首に縋り付いた。


「っ、…ブン、た」

「あっ、あ、あ…ン、も、イ、く!…はぁ、っあああ!」

「は…っぁ」



名前を囁かれ、無意識に仁王自身を締め付ければ、オレの中で奴のモノが弾けたのを感じた。









―――――








「なあ、お前さ。何でいっつもオレの右耳触んの?」



呼吸が落ち着き、心地好いダルさが残る中、気になっていた事を聞いてみる。


「ん?ああ、まあ俺左利きだからってゆうのもあるんやけど…」


「だけど…何?」


こっち向いてと言われて、オレは仰向けから仁王の胸へと抱き寄せられる形になった。


「で?」


上目に問い掛ければ、また耳を触られて。


「…人は、視覚より聴覚で興奮するんやって。右脳は聴覚を司ってる。で、右耳が右脳に近いから、こうやって左耳塞いで、」

言われながら仁王の右腕に腕枕の状態で抱き直された。

「ブン太、愛しとうよ…」

右耳にさっきまでより遥かに艶を含んだ声音で吹き込まれた言葉が再び脳内を駆け抜けた。
オレは落ち着いた鼓動がまたしても早まったのがわかった。





「くっそ、また仁王に踊らされた…」

「何言うてるの、ブン太こそ俺が右耳触ると最近じゃ自分で左耳塞ぐくせに」

「(…気付かれてたのかよ)」

「ふふ、ブンちゃん顔真っ赤で可愛いー」

「……」



仁王のすっげー幸せそうな顔見るのは嬉しい、けど…。



「んっ、ちょっとブン、…っあ!」



ムカついたから照れ隠しに目の前にあった乳首を舐めると噛み付いてやった。


「仁王顔真っ赤でかっわいいー!」



からかえば、右耳に仁王の温かい吐息が吹き込まれるのだった。









おわり



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