メタリックなその時
ニオブンメタリックプレートな話です。
部室に入ると、赤也の賑やかな声に迎えられた。
「丸井先輩、仁王先輩、結婚おめでとうございます!」
「おう、ありがとな赤也」
朝から驚いたけど、オレも嬉しくて手を上げて応える。
「俺もブンちゃんみたいな可愛ええ子と一緒になれて嬉しいなり」
そんな仁王の言葉と共に腰に腕が回されて抱き寄せられる。
「そんじゃ、丸井先輩指輪見せてくださーい!」
「おーってなんか照れんな…こう?」
「ブンちゃんそれ腕反対ぜよ」
「うっせ、恥ずいんだよ」
照れ隠しにわざと右手を出してみたのに、それを指摘されると余計恥ずかしくなった。
「ずばり!子供は何人ぐらい欲しいっスか?」
「そうやのぅ…小さい子供苦手やし俺はブン太さえおれば」
「オレはやっぱ5人だろぃ♪」
ぶっちゃけ子育てとか大変なのはわかるけど、それでも意気揚々と右手をかざす。
「「えっ!?」」
「オレと仁王とチビ5人いれば家族でテニスチーム出来るじゃん!」
「ならブンちゃん似の可愛ええ子がいいのぅ。絶対嫁にはやらんけど」
「そうだな、オレもオレに似てると助かるぜ」
「…ブン太酷いわ」
「だってお前すげー偏食だし、日射し苦手だし、すぐ嘘吐くし、めちゃくちゃ手かかんだよ」
「…ぴよっ」
「第一気付いてないと思ってんのか知らねえけど、お前仁王じゃなくてて柳生だろ」
「えっ、そうなんスか?」
「だってホクロねえもん」
「あ、ホントだ」
朝会った時から気にはなっていたんだ、口元のホクロが見えない事に。
だけどさっき抱き寄せられた時に感じた違和感。
こいつは柳生に違いない。
「…気付かれてしまいましたか」
「ったく、仁王はどうしたんだよ!」
「ブンちゃんストップ!」
思わず柳生に掴みかかろうとした時に聞こえた制止の声。
「あ、仁王先輩来た」
「すまんブン太…寝坊した」
慌てて来たらしい仁王に抱き締められた。
「…そんなん、普通に連絡すればいいだろっ!」
「だって、まさか本当にブン太と結婚出来るなんて考えてなくて…まだ夢見てるみたいぜよ」
「だからって柳生に変装させんなし…こんな、大事な話なのに…」
仁王は嬉しそうに笑ってるけど、オレは一瞬不安になったんだからな。
「ん…ごめんなブン太。これから、シクヨロ」
「おう、シクヨロ。…って真似すんなばか」
泣きそうになるのを抱きついてごまかした。
「…柳生先輩、あの2人放って早くコート行きましょうよ…」
「そうですね、でないとそろそろ私達も怒られかねませんからね」
仁王とブン太はどうしたの?
…えーっと、…部室で新婚ごっこ?してるっス、たぶん
ふーん…楽しそうだね、じゃあ俺も一緒に婿いびりしてこようかな♪
おわり
[ 44/68 ][next#]