5月5日
「いーや、絶対にあんだ!」
「わかっとらんなー、さくらのがいいに決まっとるぜよ」
ある日、丸井先輩と仁王先輩が何やら言い争っていた。
「大体、お前さくらのどこがいいんだよ?!」
「さくらはのぅ、あんにはない儚さが魅力ぜよ」
「何だよそれ、あんはなー、あの黒さがいいんだよ」
…先輩ら、好きな女子のタイプの話っスか?
つうか、仁王先輩儚げな人が好きとか、ちょー意外なんですけど。
丸井先輩も、今時黒いメイクな女子流行ってないんスけどね。
「ブン太、俺はその黒いのがイヤなんじゃ。何か粒々しとるし…」
「それ言うなら、オレはさくらのピンクが気に入らねぇんだよなー」
あー、やっぱり肌黒メイクって、日焼けさせるから肌荒れちゃうのか…。
でも肌荒れててイヤだとか、仁王先輩ひでー!!
さくらさんはピンクって、え、何が?私服真っピンクとか?俺もそれはちょっと…。それとも髪の話?でも丸井先輩だって赤いじゃん、つかピンクな頭だったら目立つよな。
「第一、あんは甘過ぎナリ。俺は好かん」
「オレはさくらは、甘いのかしょっぱいのか、はっきりしねぇからイヤだ」
仁王先輩、ああ見えて自分にも厳しいんだな…。
丸井先輩も、俺だって好きな子の態度がコロコロ変わると焦るしなぁ…って、しょっぱいじゃなくて厳しいとか言わね、普通。
それにしてもお互いの好きな相手の悪口言う先輩らって…。
「あ、じゃあ、ヨモギは?」
また、変わった名前の人が出たなあ。
「あー、あれは端から考えとらん。草の味やし」
そうそう、ヨモギっつたら草っスよね〜……って、え?
「だよな!やっぱり子供の日っつたらつぶあんの柏餅だろぃ」
「ヨモギも好かんけど、つぶあんもイヤじゃ〜…俺はさくら餅がいいナリ」
「お前はそれでも日本男児か!」
「一応」
「…え?あ?、先輩達、好きな女子の話してたんじゃないんスか?」
「ぁ?んなわけねーじゃん。柏餅の話」
「はぁ?」
「だからー、子供の日だからつぶあんの柏餅食いたいって言ったら、仁王はさくら餅だーって言い始めるしよ」
「はっ?…俺てっきり、あんさんとさくらさんって女子の話かと思ったっス」
「ははっ、オレの好きな奴なんて仁王に決まってんだろぃ」
「まったくじゃ、ブンちゃんのワガママに付き合えるのも俺だからぜよ」
「それ言うなら、お前の世話焼けるのもオレしかいねーっつうの」
「そうやね、ブンちゃん好いとうよ」
「っ、急にんな事言うなし!」
「ブンちゃんは言うてくれんの?」
「……オレも、仁王好き、だよ」
そうでしたー、この2人部内黙認のバカップルでした…。
何で女子のタイプとか思っちゃったんだろう、俺。
つーか、部室でキスするなー!!
ちなみに、こしあん派な切原赤也でした。
お疲れっスー。
おわり
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