休日
珍しく部活のない休日。
どこかに出かけるでもないオレ達は、仁王の部屋にいた。
仁王のベッドを占領してマンガを読んでいると、フローリングに座り同じくマンガを読んでいた仁王が声をかけてきた。
「ブンちゃん、アーン…?」
「…跡部みたいでキショい」
「…じゃあ、ぁーん…」
「いやいや白石でもないし。つか、どっちもお前が言うと何かエロいんですけど。……なんだよ?」
「ん、お菓子やるから口開けて」
そう言われて、マンガから視線を上げて、仁王に顔を向ける。
「…あー…ん、…めずらし、プリッツ?」
「そ。んじゃ今からゲームな」
口に入れられると、カリカリと小気味よい音がした。
食べ終えて尋ねれば、仁王は塩気の残る自分の指先を舐めて楽しそうにそう言った。
「は?」
「ポッキーゲーム」
「…ヤダよ」
「はい、ブンちゃん目閉じて」
「何でだよ!」
「いいから」
こういう時の仁王はかなり強情だ。
「………ったく。…ん」
「はい、くわえて」
「ぁ…?」
「ん」
「…っ!んぅ…っ!なっ…」
仕方なく目を閉じれば、ポッキーゲームのはずが口に挟むとすぐに唇が触れ、くわえたお菓子も舌で押し込まれた。
驚いて目を開くも仁王の舌は動き続け、思わずお菓子を噛んだ時には仁王を見上げる体勢となっていた。
「はい、ブンちゃん負けー」
「、っは、ぁ……って、何すんだよ!」
「小枝ゲーム」
「知らねーよ、んなの」
「ポッキーないから小枝にしてみたんやけど……俺が」
睨んでも悪びれなく言う仁王がムカつく。
「……短すぎんだよ、バカ!つか、プリッツでよくね!」
「あれ最後の1本だった」
「あそ。…」
オレはそれだけ言うと、仁王を押し退けて溜息と共にベッドの上に座り直した。
「ブン太?」
「んだよ」
「怒った?」
「いや?お前がプリッツとかダジャレかよって思っただけ」
「……」
「小枝は」
「ん?」
「…もう1回だけなら小枝ゲームしてやってもいいけど」
そう言ったブン太の瞳は挑発的で色っぽく、俺は首に回された腕を掴むと再び口付けた。
おわり
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