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OLという仕事は単調だと思う。毎朝決まった時間に家を出て、飲み会などに誘われない限り決まった時間に帰宅する。私自身社交的ではないので仕事終わりに誘われることは少ない。だから余計に毎日が単調になる

帰り道、マンション近くの公園を通るのはいつも6時半頃。その時間公園に子供はいない。代わりにいるのはとある男の人だった。毎日いるわけではないけどその人はボールを蹴っていた。大学生くらいに見えた。サークルでサッカーでもやっているのだろうか?私はサッカーのことはわからない。でもその人は上手だなって思った。と、その瞬間目が合った。私は軽く会釈をして家路を急いだ


***


今日は会議があるとかでいつもより一時間早く家を出なければならなくなった。その準備を任されたのだけれど朝から会議なんかしなくてもいいじゃない。なんてぶつぶつ文句を言いながら家を出ると同時に隣の部屋のドアも開いた。うわあ、隣人さんとまったくお付き合いなんてないのに気まずいな…と思って見てみたらそれは公園でサッカーをしてたあの人だった

「あ…」
「…ども」

向こうも気付いたようでお互い軽く会釈をする。まさかあのサッカーの人がお隣りさんだなんて、世間は狭いと思う。私たちは一緒にエレベーターに乗り込み、完全に二人だけになった

「お隣りだったんですね」
「そっすね」
「よくサッカーしてますよね。好きなんですか?」
「えっ…まあ…」

ちょっと驚いたような顔をされちゃった。私何か変なこと言っちゃったかな?

「俺、プロなんすよ」
「えっ?プロってサッカーのですか?」
「ETUって知りません?」
「あ…地元の」
「そう。そこに所属してるんです」

サッカーには全く興味がなかったから知らなかった。けど地元でプロとして活躍してる人に失礼なこと言っちゃったなぁと後悔。サッカーのサークルに入ってる大学生と思っていたなんて口が裂けても言えないよ

「あの、明後日に隅田川スタジアムで試合があるんで、よかったら来て下さい」
「えっ…」
「あ、それと…また公園で見かけたら声かけてくれていいっすから…てか声かけて下さい」
「あの…!」

エレベーターが1階につくと、それだけ言い残して急いで駐車場へと消えてしまった。明後日、隅田川スタジアム…。サッカーに無縁な私が試合を見ても何もわからないだろう。でもこの単調な生活を変えるきっかけになるかもしれない。そしてなにより、ただの顔見知りから隣人へ、そして少し気になる人となった彼を知りたくなったから


1グラムの恋砂糖





企画ドヤ顔ダーリン!様提出
ETUのジュニアにいた=地元出身=実家住みと思ったけど気にしたら負け
企画に参加させていただきありがとうございました!


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