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「あっほら、遼!今の世良くん!見た!?」
「あー 見た見た」
「そう言いながら雑誌見てるのはどこのどいつよ!」





目の前でちかちかと光るテレビには、先日仕事の関係で見れなかったETUの試合が映し出されている。録画しておいたものなのだが、やはり興奮するものにはしてしまうのだ。そりゃあ出来ればリアルタイムで見たかったけど、大事な仕事だったから仕方ない。わいわいきゃあきゃあと言いながらテレビの向こう側でボールを蹴る選手たちに声援を送る。遼は「もう終わった試合なんだけど」とぶつぶつ言っていたが、気にしない。丁度世良くんがシュートを決めたときに興奮して遼の方を振り向けば、遼はむすっとした表情で私を一瞥し、再び雑誌に目線を落とした。





「ちょっと、遼 」
「そんなに世良さんがいいんなら、世良さんのとこ行っちまえば?」
「はあ?」
「さっきから世良くん世良くんって…うるせえんだよ」





未だに目線は雑誌に向かっている遼に くすりと笑みを零すと、むっとした彼が顔を上げた。眉間に皺が寄っている。私の笑みが余計に彼を苛立たせてしまったようだ。きっと彼は、世良くんに嫉妬をしていたのだろう。そういば、今日の私は録画の試合を見て世良くんにばかりきゃいきゃい言っていたような気がする。(だって私は世良くんのファンなのだもの、仕方ない)
「世良くんに嫉妬してる?」と聞けば、「してねえし」と小さく返ってくる。素直じゃないなあ。そう思って、ソファに座る彼の隣に腰かけた。無理矢理遼の顔をこちらに向かせ、軽くキスをする。まさか私からされると思っていなかったのだろう。遼の釣り目がぱちくりと瞬きをした。





「今度、スタジアムまで見に行くわ」
「は…」
「遼を人一倍応援してるから、頑張ってね?」
「……お前に言われなくても頑張るっつーの」





次はちゃんと遼を精一杯応援しよう。他のサポーターの誰にも負けないくらい大きな声を出そう。試合が終わったら彼の好きなものを作って一緒にご飯を食べよう。それを想像して微笑み、遼の肩にもたれかかった。








(110224) ◎ドヤ顔ダーリン!さま

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