title | ナノ
(『まってよぅりょうくんっ』)
三つ年下のトロくて泣き虫な幼なじみは昔から何時でも"俺"にベッタリだった
(「遅せぇよなまえ」)
(『まってよぅ・・・っ』)
私生活はもとより学校の登下校もユースの練習も
大きな瞳いっぱいに涙を溜めて何処へ行くにもパタパタと追いかけて来るなまえに俺は度々隠れてうろたえる姿を見ていた様な気がする
そんな感じでずっと一緒にいた俺達二人
そしてこれからもそれは変わらないのだ―・・・
と思っていた
――
―――・・・
『遼君この間のゴールすごくかっこよかったよ!』
「あっそ」
『おばさまとお母さんと一緒に見てたんだけどね三人ともつい応援に夢中になっちゃってお父さんとおじさまのご飯忘れちゃったの(苦笑』
「ふーん」
コーンとポールで作られた選手とサポーターの境界線を挟んで楽しそうに話すなまえに俺は興味なさ気に軽い返事を返した
『聞いてる?遼君』
「あーはいはい」
なまえは学校帰りによく此処へ寄り道しては今の様に話しをしていくのだ
ちなみに説明が遅れたが練習はとっくに終わっていて今は自主練中
よって俺はサボっている訳ではない事だけは言っておく
「つーかお前スカート短くなったろ」
『え??そんな事ないよ?皆より長い位だよ』
友達にももう少し短くしたらって言われるんだよと笑いながらスカートの端を摘むなまえの格好は数年前まで俺もよく目にしていたセーラーで
とりあえずその友達には余計な事を言うなと思った
『あ!そうだ今日ね学校で調理実習があってクッキー作ったの!』
「これお前が作ったやつ?」
『そうだよ!』
「・・・食えんの?」
『んなっ?!?試食タイムで同じ班の香苗と早紀ちゃんと小橋君と佐藤君に食べて貰ったけど皆美味しいって言ってたもん!大丈夫だよ!!』
俺の言葉になまえは失礼だと騒ぐ(小橋くんと佐藤君に関しては後ほど詳しく聞き出すから覚悟しろ)
『そんな事言うならせっかく作ってきたのに遼君にはあげないからね!黒田さんにあげるから!』
「・・・なんでそこであの人が出てくんだよ」
今までのは皆なまえ学校の奴らだったからなんとか抑えてやったけど
今回は俺サイドの奴―・・・
しかも毎度いさかいになるあの人だ(アイツと呼ばないのは一応アレでも先輩だから)
抑えていたはずの感情がユラユラと戻ってくるのを感じた
『黒田さん凄く優しいし遼君みたいにイジワルじゃないもん!』
「はっ!じゃあなおさらやらねえ方がいいんじゃねえの?俺は心配してやってんだぜ!選手に危ないモン食わせん・・・・・っ!?!」
黒田を褒めるなまえにどうしようもなく腹が立ってまくし立てた赤崎だがそれは一気に動揺に変わる
『う゛ぅー・・・グスッ』
スカートをぎゅっと握り締めてぼろぼろと涙を零すなまえにこれはやりすぎたと瞬時に理解し内心では焦りが止まらない
「ッおい・・・」
するとそこへ―・・・
「なぁさっきからこっちで俺の事呼んでなかったか?」
「っ!?!っぁあーもー!うっせーよタコ!!」
「な゛っ!?!」
「っ行くぞなまえ!!」
『っ!?!』
最悪のタイミングで黒田が登場した赤崎は何かがキレたらしく黒田へ悪態をつくとなまえの手を掴みそのまま走り出した
オイコラ赤崎!!なんて言葉が聞こえるけれど無視だ無視
『りょ・・・く・・・・ん』
「・・・っ!?」
グスグスと泣きながらも繋がれた手をぎゅっと握ってきたなまえに赤崎は更に力を込めて握り返した
(泣くなよ!)
(幼なじみなんだからいい加減照れ隠しだって気づけよ!)
(大体お前が俺よりアイツが良いなんて言うから悪ぃんだよ!)
(俺はお前が・・・っ!!)
グルグルと渦巻く彼の心境から普段のクールさは消えていた
―――・・・
(二人が去った後―・・・)
「・・・・・・なぁスギ」
「なんだよクロ」
「おっ俺なんかしたか・・・!?(焦」
「・・・・・・した・・・というか」
かなり動揺している黒田に杉江は苦笑いを浮かべる
今回は引き金になったとはいえ巻き込まれたのだから原因とまではいかないだろう―・・・
「全く―・・・僕の犬にしては女性の扱い方に問題大アリだね」
「「ジーノ?!!」」
二人の背後から現れたジーノはそう言うと溜息を着いた
「男の嫉妬なんて見苦しいだけだよザッキー」
天の邪鬼もほどほどに
(「ほらいい加減泣き止めって!」)
(『うぅ〜グスッ・・・りょっくん〜・・・』)
((そういえば昔も調子に乗ってなまえ泣かしてお袋に怒られたんだった・・・JJ))
企画:ドヤ顔ダーリン様へ提出
△完成した後にお題にそれているのか心配になりました('';)
△楽しかったです!!
△ありがとうございました!!