[男爵であるハルト公が殺害されはやくもひと月半が経ち、子爵が殺害され半月が経ったが未だ犯人の正体は不明である。

今までルノアール隊やカゲロウの捜査が続けられてきたが、、貴族共の動揺により起こった屋敷警備依頼が増え人員をさけることが出来なくなった為、一時中断とした。

そこで、だ。ルノアール王国1とも言われる《夜鷹》殿に調査を依頼したい。依頼を受けて下さるなら、いつも通り連絡を頼みたい。

良い返事を待っておるぞ。

ルノアール王家、防衛及び治安維持担当大臣カトリック・ロナウド]だって。どうするグレイ?」


ここは、城下町の裏通りにある古びた酒屋の地下深くにある、とある根城。

そこには、目元に濃い隈をした鋭い鷹のような目をした二十代前半くらいの青年と、この近辺では見かけない黒く長い髪を三つ編みにした前日成人を迎えたばかりの見た目少女がいた。「ローザンヌ、彼らは大馬鹿者だよ。騒ぎの犯人に捜査依頼するなんてさっ」


心底可笑しそうに笑う青年……グレイは、目は笑っていない。

おさげの女性、ローザンヌも同様だ。


ひとしきり笑い終わると、真面目な顔でグレイはローザンヌに指示をする。

「我らが主よりの命は[次なる日はふた月後。それまで表へ融けろ]だそうだ。僕は暫くここにいない。いつも道理に、ね?」


その後もふたりにしかわからない、会話は続く。


ここは地下深くにある、一般的には正体不明な二人だけの世界。


彼らの目的はまだ、分からない。

ただ言えるのは、彼らが動くのは《主》より賜った命〈メイ〉に則ってだけだと。

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