∴夢主男体化注意
双子の兄の方が片割れと別れたのを確認し、気付かないように背後に忍び寄る。
「んぐっ…!?」
口を塞いで、反応する間も取らせず、路地裏へ連行。
「んぅ、んッ」
誰だテメェ何しやがる、とばかりに自分の口にあてられたその手の主を見上げる、そいつーーーシフティの顔には怯えの色が浮かんでいた。
しかしその怯えは、すぐさま驚きへと変わる。
手を離してやれば、シフティは自由になった口を、魚のようにパクパクさせた。
「お、おま、カイリか!?」
「そ。びっくりした?」
へらりと笑って見せるが、相手は目を見開いたままだった。
まぁそれもその筈。
シフティより下回っていた筈の背丈は私の方が高くなって、肩幅も広くなり、胸も無くなっている。
男物の服に身を包んだその身体も、今はれっきとした男性のものなのだ。
驚かない筈がない。
「まさか、お前」
「てへ、またスニフの実験失敗しちゃった」
面白いからという理由で私は度々スニッフルズの発明の実験台をかって出ているのだが、天才もやはり人間なので時々失敗する。
今回もその時々の内の一回であった。
「髪を伸ばす薬の筈だったんだけど...」
髪が伸びるどころか何故か身体が変わってしまった。
「…今度はいつ戻れんだよ」
「今回は直ぐに戻れるみたいだよ、夕方ぐらいには効力がなくなるって」
呆れながら尋ねるシフティに、あっけらかんと答えるとため息が返ってきた。
そんな彼に本題を切り出す。
「でさ、せっかく男の身体になったんだから…」
ニコりと微笑めば、勘のいいシフティは察したようで。
「勘弁してくれ…」
顔を引きつらせて後退りを始めたが、生憎後ろは壁。
「っ」
「残念でしたー」
追い込むように壁に腕をついて、捕らえられた彼の耳を軽く食む。
「っ、あ」
耳から首へ、首から座骨へと唇を落としていけば、シフティはくすぐったそうに目を細める。
シャツの中に手を滑り込ませて、腰を撫で下ろすと、色っぽい悲鳴があがった。
「なにその声、誘ってる?」
「ち げぇ、離っ、ん」
喚きかけたその口にキスを落とす。
「っふ、んっぅ」
しかしシフティはそれには応えず、顔を背け、流されまいとばかりに此方睨み付けてくる。
私が抵抗される方が燃えるというのを忘れているのだろうか。
それだけでもそそられるのに、口の端を伝う涎がこれまたエロい。
「シフティ、」
「あ?」
「勃った」
さぁーとみるみる内に青くなるシフティの顔。
「絶対嫌だからな!つか早ぇよ!」
「なっ、シフティだってどうせもう硬くなってんでしょ!」
「ひぃ゛っ!?」
かちんときて、シフティの股関をぐわしと掴む。
「ほら」
案の定、ソレは既に硬くなっていた。
「っ」
「こんなになってるのに拒むってことは、シフティは一人でしたいのかな?私は別にシフティの自慰をおかずにっていう選択肢もあるし、それならそれでいいんだけど」
掴んだそこをやわやわと揉めば、シフティはもどかしそうに扇情的な吐息をこぼす。
すぐにでも楽になりたいくせして。
肩を掴んで、背を此方に向けさせ、ベルトを外しにかかる。
「ば、ちょっ」
「ちゃんと優しくしてあげるから」
スラックスを下着ごと下ろし、口に含ませた指を、後孔に這わせる。
「だからそうい…っ、く」
人差し指をぐにりと中に挿れて引っ掻き回せば、シフティのぐぐもった呻き声が上がる。
一度引き抜き、指を増やして最挿入。
体内に入ってきた異物が良いところを掠める度に、眉根を寄せ、身を捩らせて艶めいた喘ぎを漏らすシフティ。
「く、っ…ん、ぁ」
いつになく私の理性を刺激するそれに、本来ない筈のモノが堪えられなくなってきた。
まだ充分に解せてないというのに挿れたくてたまらない。
このまま中に入れて、思う存分シフティを突き上げてやりたい。
そんな衝動が涌き出てくる。
「っ、シフティ…ごめん、もう余裕無ないかも」
一言そう告げ、自身のベルトを外して、着衣を下げる。
「ぇ、うそ、ちょ、待っ」
振り返ったシフティが、そそり立ったソレを見て制止の悲鳴を上げたが、それを聞く余裕はやはり無く、私はそのままそこへ自身のソレをぶち込んだ。
「ひ、ぃ゛ああぁっ」
裂けはしなかったものの、そこはギチギチで、互いに余裕が無い状態だった。
「っ、く」
思わず声が漏れる。
シフティは肩を上下させ呼吸を整えていた。
あぁ、このまま突き上げてしまいたい。
そんな私の思考を読みとったかのように、シフティは荒い呼吸のまま口を開いた。
「っ、海里、頼む、から 動くな、動かなぃ、で」
その震えた声に、私の加虐心が疼く。
だからそういうのは逆効果なんだってば。
ごめん、一言謝って私はシフティの腰を引き寄せた。
「い゛ぁっ…!!」
中途半端に入っていたソレが、音を立てて呑まれていく。
そのまま乱暴に突き上げてやれば、シフティの喘ぎは悲鳴へと変わる。
「いぁ゛、痛 ぁあっ、やめ、ひっ、ぃ゛あっ」
だが、それでもシフティの前のソレは萎える事はなかった。
「っ、シフティ、ほんと痛いの好きだね」
「ちが、ぁあっ」
壁に手を付き、ガクガクと足腰を震わせて、否定の言葉を吐くその様に、説得力はまるでなかった。
と、そこへ。
「…でさぁー、それがまた面白いのなんの」
「はははは」
通りかがった人の話し声が聞こえてきた。
かなり近いだろうその気配に、バレる事を恐れたシフティの後孔が更に締まる。
「っ、」
身を強ばらせるシフティの様子に、ついつい面白味を感じてしまう。
ちょっと意地悪してやろうか。
まさかこの状況でと油断しているシフティに強く腰を打ち付けた。
「今、なんか聞こえなかった?」
「えー、聞こえなかったよー」
声をもらすまいと、手の甲を噛んで必死に律動に耐えるシフティ。
「〜〜〜〜っ」
シフティが立ち止まったらしい通行人を意識すればするほど、そこはキツく絞まり、快楽は倍増する。
通りかかりの女の子達がいなくなるまで、容赦のないストロークが止まる事はなかった。
「シフティ、もういいよ」
女の子達が行ったのを確認して、出血しかけていた猿轡を外させると、シフティが息を整えるのを待つまでもなく、すぐにまた律動を再開する。
「まっ、やめ、ぁ あっ」
シフティが好きなところを重点的に刺激してやれば、その都度、その身体は大きく痙攣した。
「シフティ、っ」
「カイリ、カイリ、カイリッ」
切羽詰まったように、求めるように、私を呼ぶ上擦った声。
「一緒に、イこっか」
その声に応えるべく、私は彼の腰をもう一度強く打ち付けた。
スラックスを上げて、バックルにベルトを通す。
一方のシフティは壁にもたれ、ぐたりとしている。
すっかり腰が抜けてしまったようだ。
「シフティ、大丈夫?」
「誰のせいだと思ってんだ、このくそアマ!」
「今は野郎なんだけど」
「っせぇ、ボケ!」
心配して声をかけたというのに、酷い言われようだ。
ため息を吐いて、シフティの近くへと寄り、その肩を抱く。
流石、男の体だ。
すんなりとシフティの身体を持ち上げる事が出来た。
今なら抱き上げる事だって可能だろうが、それは当の本人が嫌がるだろう。
ぐちぐち文句を垂れるシフティを支え、路地裏から表へ出る。
その時だった。
「えっ」
突然 へにゃりと力が抜けた。
そのまま成人男性一人分の重みに負けて、二人揃ってアスファルトの上にた折れ込む。
後頭部を強かに打ち付けたが、打っただけですんだ。
ひ、ひい。尖ったものとかがなくて良かった。
「っ、シフティ大丈夫?」
私の上で馬乗りの体勢になっている奴に声をかけると、シフティは ああ、と一言、ぎこちなく目を背けた。
その態度に疑問を感じた私は自分の身体が元に戻っている事にはたと気づく。
「ああ...、そういう」
「っ」
体勢的にはまあ押し倒されてるようなものだもんね。
その意図を察してにまりと笑うと、奴は面白いくらい顔を赤らめた。
その頬に手を添えれば、さっきヤったばかりだというのにシフティの顔は欲情としたそれになる。
此所、れっきとした表通りだけど。
ペチュニアとギグルスが向こうに見えるけど。
こっちに気づいたペチュニアが真っ赤になって此方に向かって駆け出したけど。
シフティが可愛いからもう少しだけ付き合ってあげる。
求められるままに、私は彼とキスをした。
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