・アツヤ×士郎 ・士郎が先天的女体化 「ボク、もう三ヶ月も生理が来てないんだ」 ねーちゃんは、今日のみそ汁は味が濃い、とか言うような調子で呟いた。 そんときのオレの心情は推して知るべし。驚愕、真っ青、冷や汗。何故って、すべからく心当たりがあるからに決まってんだろ。 「なっ、なっ、なっ」 オレの手から、ばらばらばらと、トランプの扇が崩れ落ちた。 「な、なん、ねーちゃ」 「あっ、アツヤったら、またジョーカー左端に持ってたでしょ」 もう、そうキミが弱くちゃつまんないよ。いやいやねーちゃん、ふたりっきりでババ抜きしてる時点でつまんねーだろーが。 ねーちゃんいわく、本来大勢でやるべきことを、あえてオレたちふたりだけでやるのが楽しいんだそう。 「ねーちゃん…」 「ボクとアツヤの赤ちゃんだったらさ、そうだね、目の色が、左右で微妙に違うのかもね」 ねーちゃんいわく、本来姉弟ではやってはいけないことを、あえて姉弟でやるのが興奮するんだそう。理解不能。 ねーちゃんは幸せそうに笑った。 「オッドアイ。カッコイイ」 ボクお手洗い行ってくる。とてとてと部屋を出て行くねーちゃんの背中が、妙に恐ろしく見えた。 せいりがこない。 せいりがこないって。 アレか。 アレだ。 「マジかよ…」 ―――いいよね?アツヤ。いつもそう言って、ねーちゃんは夜な夜なオレを犯した。だから、そう、ありえるのかもしれない。 どうしよう。ねーちゃんを泣かせてでも、やめさせるべきだった。どうしよう。 と、意気消沈しているオレを覚醒させるかのように、ばたんっ、ドアが乱暴に開いた。ねーちゃんが泣きながら立っていた。 「生理…来ちゃった」 その泣き顔はまるで大事な人が死んだときの涙みたいだった。うっ、うっ、と、苦しそうに泣くねーちゃん。オレはもう、ほっとするよりもまず、なんと声をかけていいものかと困惑した。どうしようもないので、可哀そうなねーちゃんに駆け寄って抱き寄せることにした。 ねーちゃんの目は涙で、ぎらぎら、していた。 |