・ザック×ビヨン
・ビヨンが先天的女体化




















オレの彼女はよくできた彼女。まあさ、料理なんてからすぎるのか甘すぎるのしか作れないし、筋金入りの掃除嫌いであいつの部屋はいつもオレがきれーにしてやってるし、オシャレなんて言葉知らないから豊かな髪の毛は洗いっぱなし、スカートなんて一着も(制服以外は)持ってない、行動の女らしさという点でかんがみればとてもじゃないがよくできた彼女なんて言えないんだけどな。じゃあなにがよくできてるのと言われれば、身体だ。なんかこう言うと変態っぽくてやだなあ、でもじゃあなんて言えば良いんだ?悪いけど国語は苦手。で、そう、あいつはほんと、身体だけはほんとーっによくできたやつなんだ。顔の作りはミケランジェロの彫刻より綺麗だし、スタイルも抜群にグラマラスだ。特に背なんかスラーッと高くて、オレみたいなのは余裕で見下ろされちまう。手足も長い。女なのにそれなりの筋肉を持っていて、あらゆるスポーツをそつなくこなす。特にサッカーなんてびっくりするほど上手くて、こないだ遊びで一緒に試合したときは驚愕したよ。おんなじチームだったんだけど、あいつ、現役サッカー部フォワードのオレを差し置いて、ばんばん点入れるんだから。彼氏の面目丸つぶれだよ。っとーに。


「ザックはいつまでたっても小さいな。如何せん」


だからさ、カイル、なにもそんな傷口に塩塗るようなこと言わないでくれよ。そんな、じいーと見下ろさないでくれよ。嬉しそうに頭なでなですんなバカ。オレが日々、おまえの彼氏という立場にあるがゆえにどんなに幸せで不安かなんて知らないくせにさ。


「余計なお世話だ」

「なんで怒る?」


いやなんだよそのわけわからんみたいな顔。


「可愛いから良いと思う」


喧嘩売っ…てないんだよなあ、はああ。こういうのを天然って云うのかなあ。あ、やあっと頭をなでなでするのをやめてくれた。と、思ったら、今度はしなやかな両腕がにゅっと伸びてきた。


「ぶ」


視界が真っ黄っきだ。んん?なんだ、カイルのティシャツか。なんか顔にむにゅむにゅしたもんが当たってる。えっ、なんだこれ。カイルの腕がぎゅうぎゅうとオレの頭を抱き寄せている。


「ザックはいまに大きくなっちまうさ」


あっ、あっ、ちょ、ぐりぐりすんな、当たっ、胸がっ、モロにっ。だからオレはおまえの顎のちょっと下までしか背がねーんだから、豊満すぎる胸元に顔面ごと沈みこんでしまう、ああっ、またこいつブラジャーしてねえええ何考えてんださっきまで外に出かけてたってのにずっと…。なんてあたふたしてたら、ぎゅ、とカイルの腕に力がこもった。


「お前に抱きしめられるなんて御免だがな」


俺はこっちのが落ち着くんだ、って、なんつう恐ろしいことをぬかす彼女だろうか。畜生、見てろよ。知ってるか、オレっていま成長期なんだぜ。でもカイルの背を抜かしちゃったらこんな柔らかい思いはできなくなるのかなあ。それはちょっと残念かも…うわっ、やっぱオレ変態みたいじゃないか、いまのなし。