「帰ってしまうのですか」

「そうだね、一週間だけの予定だから」

「……私はもっと、優希くんといたい」

「ありがとう。でも、俺は月宿を離れられないから」

「では、私が月宿へ行きます」

「え?」

「会いに行きます。優希くんに」

「でも」

「行きます。絶対に」

「……分かった。俺は大学を出たら、月宿で一人暮らしする予定なんだ。そこにおいで。一緒に暮らそうよ」

「行きます。必ず行きます。優希くんに、会いに」

「待ってるよ。ほら、もう寝よう? 夜更かしは良くないよ」

「眠ってしまったら、優希くんがいなくなってしまいます。まだ起きていたいです」

「大丈夫だよ。ここにいる。朝は俺が起こしてあげる。約束」

「ゆびきりげんまんです」

「うん。ほら、指切り」

「ゆびきーりげんまん。うそつーいた、ら、……」

「……寝ちゃった。まあ、いいか。お休み、風羽ちゃん」

 それから、ごめんね。

「さよなら」