スウィーテストメモリー無事完結しました。広瀬と風羽たんの真剣十代語り場にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

今回このお話は、広瀬アナザーバッドをどうにかハッピーエンドに持って行きたくて生まれました。
と言うのも私は最初、バッドが正規ルートだと思っておりまして、「乙女に夢を見せるための乙女ゲー、しかもファンディスクでまさか恋人達の別れる理由ナンバー1(多分)『価値観の相違』を持ってくるなんて……!さすがTAKUYOはやってくれるぜ!そこに痺れる憧れるぅ!」とすごくテンションが上がり「ここからどう話を持って行くんだろう」とわくわくしていたのですが、そこから一直線にバッドエンドに転がってしょんぼり(´・ω・`)しました。

グッドエンドに何も不満はないけれど、ここから話が展開したら面白かったんじゃないかなあと思い、もやもや悩んでいたときに「スウィーテストメモリー」というお題に出会い、プロットを作りました。結局は彼らにはどんな形でも幸せになってほしいというか、悲しいのは本編バッドで十分じゃないのというか。

しかし、所詮二次創作は借り物の世界観とキャラクターで、そこでは自分勝手にキャラクターを話させることもできなければ、原作で表現されたものから受け取ったものしか手掛かりは無いわけです。

私はカエル畑が大好きですし、原作から受け取ったたくさんのものを蔑ろにはしたくないと思い、広瀬はどういう風に考えるかな?風羽さんならどう答えるかな?ああやって自分を嫌いだと言い切って、風羽さんと別れることを決めた広瀬はどんな言葉なら気持ちを動かすかな?風羽さんは広瀬と価値観や生き方の話をして、どう考え方が変わったのかな?など、考え過ぎて頭がショートしました。私はカエル畑がとても好きです。プロットを仕上げた後、中身を書きながら、これで良いのか、これは広瀬なのか風羽さんなのかとうんうん唸りながら書いていました。私はカエル畑が(ry

広瀬の悩みは特に「トラウマ無き悩み」なので、ただ抜本塞源、根っこを改めたら万事解決、という訳にも行かず、広瀬がこれまでの自分との折り合いとかプライドとかこだわりとかに悩む様を考えながら、「お前高校生なんだからもうちょっとアホに生きろよ……」とうっかり涙目になったりもしましたが、そこでそういう悩みを放り投げないでしっかり考えられるのは、ただ広瀬が真面目で誠実で、風羽たんの言うように「等身大の優しさ」を持っているからだと思います。そういう自分の弱さや狡さを自覚して向き合えるということが既にまれなことで、それに悩む広瀬はただ誠実なんだと思います。

私は正直であることが必ずしも正しいとは思いません。安易に肯定できるものだとも思いません。なので広瀬の生き方も否定しない、というのがこのお話の隠れた趣旨でした。ただ広瀬の生き方はとても疲労する生き方だとも思うので、風羽たんがいることで上手く肩の力が抜けるようになってほしい、と思います。風羽たんの前向きさや愛情が、上手く広瀬の固い部分を和らげてくれたら良いなあ、なんて。多分風羽たんが広瀬にしてあげられることってひとつひとつが大ぶりで、広瀬はそれを申し訳なく感じたりもすることもあると思います。広瀬ができることと言ったら風羽たんがパジャマ一枚でいるところにコートをかけてあげることくらい。けれどそう言う小さな気遣いや優しさの積み重ねは、風羽たんにはとても温かいものに映ると思うのです。まあ、ようは捉え方次第ということです。

悔いは広瀬と風羽たん以外を全く出せなかったことでしょうか。それに葉村には申し訳ないことをした。舞台裏では風羽たんとみんなで「広瀬を落とす会」を結成して色々画策していたのではないかと思います。私は仲良し寮生ズがとても好きです。

そう言えば今更ですが、プロローグに千木良を入れるのを忘れておりました。からかいが一言で済まないと思って無意識に外したのかもしれません……。まさかあとがきを書いている途中で気付くなんて……。あとがきが一度消えてしまったのはそのせいかもしれません。烏天狗殿怖い!

それでは、あとがきはこれで終わります。約二週間ほど、お付き合いありがとうございました!



2011.02.14
ムロ