ミキがなに考えてんのかわからない。ミキをずっと見てるのに俺のぽんこつ頭じゃなあんにもわかんない。今何で笑ってんのか怒ってんのかもわかんない。でもミキが俺を抱きしめてくれて、キスして、いやらしいこといっぱいさせてくれるならいいかなって思う。たぶんそれでいい。ミキのなんともいえない普通な顔の表面をぺたぺた触る。俺のおっきなてのひらはミキの顔をおおってしまう。やめてと顔を揺らすミキ。呆れたように俺をみるミキ。色素が薄いからだはふんわりどこかに消えてしまいそうでこわい。俺はこわい。いつかミキがばかな俺に愛想つかして頭がよくてなんでもわかる、そう、あの会長のとこに行っちゃうんじゃないかって怖い。会長じゃなくたって副会長もすっごく頭いいしきれーだし。そんなのってやだ。ぜったいやだ。会長も副会長もやさしーからすきだけどそれとこれとは、ええっとなんだっけおかどちがい?たぶんそれ。がぶがぶミキの首を噛みながら考える。もうちょっと頭がよかったらなあ。そうしたらミキは俺のことすきになってくれるんだ。白いミキの肌に赤い噛み跡。でこぼこした歪み。俺の跡。くふくふ笑う。もしもミキがどっか行ったって俺はミキを追いかけるし逃がさないしそれにミキには俺がつけた跡がいっぱいある。
「ミキ、ミキ、またピアスの穴、あけよ?俺やったげる」
「う、うーん。また開けるの?」
「開けるの。ミキ似合うよ、あけよ?」
5つくっついてるピアスの一番でかいのをべろり、舐めながら強請るとミキは溜息をついて考えとくって言ってくれた。ミキの考えとくは俺の言うとおりにする、だから明日にはピアッサーを買ってくるだろう。うふふ。楽しみだ。
「真は?」
「ん?」
「真はピアス開けないの?」
「なんで」
「俺も真にピアス開けたい」
ミキから俺に何かしたいなんて、そんなの初めてでびっくりして抱きついていた腕を緩めてミキの顔を見る。少し赤くて強張ってる。
「なんで?なんでミキも俺にピアス開けたい?」
ミキの顔がどんどん赤くなる。心臓がばっくんばっくんいう。これは俺の?ミキの?
「俺も、真に俺のものってやつ、つけたいからじゃだめ?」
だめなわけない。ばかなミキ!!いますぐピアッサーが欲しい。首輪でもいい。嬉しい。嬉しすぎて何をいったらいいか分からない、口が回らない自分が疎ましい。ミキの首にすがりついてうん、うんとしか言えない俺のうなじに白い指が這っている。じんわりじんわりほっぺたが熱くなってきた。さっき噛んだ血が滲んだところをごめんねの気持ちを込めて舐める。くすぐったいよってミキが笑うからざらざらカーテンは揺れて青い空にはまるい雲が浮かんでいる。なんでだかわからないけどちょっとだけ涙が出た。跡をつけてつけられて、忘れないように。ずっと、いつまでも俺はミキがすき。俺はミキの開けてくれたピアス穴をつぶさない。全部大事にかみしめて残す。ミキの調子っぱずれな鼻歌にゆるく回された腕の温度、部屋の外のまぶしさ。俺の小さな脳みそを埋め尽くして使い切って一生俺の中を大好きなミキで閉じ込める。もしもの「いつか」が来たってそれだけで生きていけるように。

傷跡は消せるのよ



大変おそくなりました!受け攻めあいまいな感じになっちゃったんですが大丈夫でしょうか?甘苦いみたいなのにチャレンジして玉砕した感じが否めませんがよろしければお納めください。
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