▼獣人受けパロ
筆を放り出して暖かい庭に出る。のんびり歩きながらあくびをひとつ。ふらふら飛ぶ蝶。ゆっくりまばたき。
「ご主人!どこですか!ご主人!」
首をすくめてささっと走って声が届かないところまで行くと庭師がいた。結以外に久々に生き物を見た。じいっと睨む。知らない奴とはなしてはだめなのだ。
「これはこれはお犬さま。おひとりで?」
黙って頷く。
「それじゃあ結さまがお探しでしょう。早く戻ってやんなさい」
狐目のおとこがぱちり花を切って差し出す。
「これを持っていけば結さまも許してくださいますよ」
言葉につられて花を恐る恐る受け取って匂いをかぐ。軽くお辞儀をして屋敷まで走り出した

高く結わえられた黒髪の房が揺れるたび覗く真白い筋張ったうなじにかみつく。なめる。がっちり抱きついて押し倒してしゃぶる。汗のあまい味。奴のにおい。夢中になっていたらからだをひっくり返されて押し倒された。
「ご主人、戯れもいい加減になさってくださいな」
ばたばた暴れても動けない。低く唸る。なだめるように腕をつかまれたまま接吻された。薄い舌。鼻を鳴らして吸い付く。最後に額に口づけられてはなれていく結。
「おあづけです。夜までいいこにしてるんですよ」
返事がわりにわんとひとつ吠えた。早く日が落ちればいい

頭をなでるてのひらにすり寄る。冷たい温度が気持ちよくて喉を鳴らす。ぱたりしっぽが勝手に動いた。引き寄せられて胸元に顔を埋める。奴が低く笑う振動が心地よく響く。「ご主人さまはあまえたですねえ」

▼よくわかんない
ああすればよかったこうすればよかったぐるぐるどうしようもない考えばかり頭を巡って破裂しそうだ。俺がおんななら。高い声とやわらかいからだを持っていたら。あいつに好きだといえただろうか
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