2012/03/01 12:31 「アーサー?どしたの?一回目開けて、擦っちゃだめ」 痛みをこらえてまぶたを上げる。 「あー、まつげかな、とったげる。動かないで」 まぶたをフランシスの人差し指と親指で固定されてぽってりしたくちびるが近づく。からだを強ばらして息をつめる。ちょん、とあまり痛みもなく舌がふれて離れた。ぱちりぱちり瞬き。 「もう痛くない?」 ティッシュで舌を拭いながらフランシスが聞く。 「ん、まだ変な感じするけど平気だ」 なんとなく目にやった手を止められた。 「擦っちゃだめだってば。眼球に傷ついたらどうすんの」 「まだ擦ってない」 「屁理屈捏ねない」 「屁理屈じゃない」 ぎりぎり睨みあっていたらいつの間に来たのかアントーニョが焦ったように間に入り込む。 「何やっとるんじゃお前ら!距離近いんじゃぼけ!離れんさい!ちゅーかアーサー、お前まつげぐらい自分でとれや!」 「何いってんのアントン、アーサー不器用なんだから指目に刺しちゃうでしょ」 結構最初から居たらしいアントーニョに不思議そうにフランシスが返す。 「いくらなんでもんなことならんわ!」 「アーサー昔やっちゃったんだよ。俺が取るっていってるのに意地はって…俺に見せてっていってるのに言うこと聞かないでずうっと泣いてばっかりでさあ。痛いのやだーって。大変だったんだから」 「言うなばかあああ!」 「え、まじで?まじでやったんかアーサー…」 さっきとは違う意味で涙目になる。ああアルの目が痛い。菊の生暖かい雰囲気がやるせない。なんだよこっち見るなよさっきまでみたいに話してろよ。俯いてわなわな震えていたらなぜかイヴァンの隣に居たギルがだるそうにくちを開く。 「つかさあ、まずふたりともその手離したほうがいんじゃねーの?アントーニョ、そいつらに何をいっても無駄だ諦めろ。そんでさっさと会議始めろよなー。ルッツの胃に穴空くだろうが」 「兄さんがまともなことを言った、だと…」 |