003

"ピンポーン"


「・・・はい、」

《昨日?俺だけど・・・あがって良い?》


いきなりたずねてきたのは幼馴染。
沢田綱吉、といって学校ではダメツナ、の愛称で通ってる。
私はそんな綱吉をダメだなんて思わないから綱吉と呼んでいるけど周りは違うみたい。

少しぐらいできなくてダメ、というなんてどれだけ酷い事なんだろう。
ダメツナ、と呼んでいる人たちだって完璧じゃないくせに人より少しできるものが少ないとダメなの?

あぁいけない、話がずれた。
さっき来た幼馴染は、私の"異常"を知っている。
夜に見てしまったから。


この狐の耳と、9本ほえた尻尾を。




「今日はどうしたの?」

「様子見に、っと言うか用なくちゃ会いに着ちゃいけないの?」


ムスーとしながら私が渡した紅茶とお菓子を口に入れる綱吉。
少し可愛いなんて思ったことは秘密だ。だって怒られちゃう


「いや、ダメじゃないけど」

「あ、でも迷惑だったらすぐ帰るけどさ!」


さっきまで機嫌斜めだったのに、今ではあわあわしてる。
本当に見てて飽きない、幼馴染だ。

迷惑じゃないよ、と少し笑いながら言えば綱吉は笑い返してくれる。
そんな人だ、綱吉は。
まるで羽みたい、・・・優しく、ふわりと包んでくれる。
だけど空を飛ぶ強さがある、・・・・翼みたい。


「今日泊まっていけば?」

「えっ、ぁー、うん、母さんに連絡してみるよ」


もう少し、その翼に甘えていたいと思う私は、
やっぱり、寂しんぼ?


だけどその寂しんぼのおかげで綱吉といられるのなら、
寂しんぼでもいいかな。


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