変態島×シズちゃん好き好きに提出させていただきました。




仕事中、何の前触れもなく静雄は思った。


臨也はなんてエロ可愛いんだ!!!

トムさんの後ろをノロノロ歩いていた静雄の足はぴたっと止まる。頭の中は臨也のあんな姿やこんな姿でいっぱいだった。


「静雄?どーかしたか?」

「先輩に返答を求めます」

「………………」

「おーい静雄!し・ず・お!!!」


「はっ!!すみません、ちょっとあっちの世界がバラ色すぎて見とれてました」


支離滅裂な事を言ってる自覚はあるのか無いのか。
トムさんは“はぁ”とため息をつき、ヴァローナはパチパチとまばたきを繰り返す。


「あと一件だから我慢すんべ」

「うっす」

「静雄先輩は何を我慢する必要があるのか、回答を要求します」

「あぁ、お前は知らなくて良いこと」

「???」


不思議な顔をしているヴァローナをよそに、2人は歩き出した。




****



「はぁ……波江さぁん今日は帰って良いよ。」

「あら、珍しいわね貴方がそんな事言うなんて。」

「何?帰りたくないの?」

「いいえ、そろそろ時間だから帰らせてもらうわ」

「…時間って?」


波江が帰る時間まであと1時間近く余裕がある。臨也が首をかしげて波江を見ると、彼女は“何でもないわ”と言い残して、部屋から出て行った。
クルリと椅子を回して窓の外を見る。沈んでいく太陽が街を揺らめかせ、何かの模様のように光と影のコントラストを描いている。


「シズちゃんに会いたいな」


ふっと口から出た本音、恋人である静雄とは、かれこれ1週間近く会っていない。

「シズちゃん来ないかな〜」

ダンダンダン

扉をたたく音が響く。今時こんな事をするやつを臨也は人しか知らない。いや、1人だけ知っている。
臨也が会いたくて、触れたくて、今日の仕事が手に着かなかった元凶。


ダンダンダン!!


「はぁーい待ってー壊さないで!!」

ダンダン!ダ、ゴン!!バダン

「あー扉が……」

「臨也ぁこの扉壊れてんぞ」

「シズちゃんが壊したんでしょ!?」


玄関に着くとシズちゃんが見えた、もともと付いていたであろう扉は、無惨にも部屋の中に倒れている。


「随分見通しが良くなったね」

「涼しくて良いじゃねぇか」

「良い訳ないだろ、どーすんだよこの扉!!」

「付けとけば良いだろう?」

「それじゃシズちゃん以外出入りできないじゃん!!」

「おー良いなぁそれ」

「なに言ってんだよ!!」


アホかこいつは…
静雄は扉を持ち上げて、ガコガコとはめ始めた。扉は静雄の力に耐えきった様だが、蝶番が耐えきれなかったらしい。


「シズちゃん…?外からつけてどうやって入ってくるのさ?」

「……」


バン!

向こうから扉を押して元の状態に戻す。いとも簡単に倒れてくる。もはや扉としての役割を果たしてない。
結局、静雄が中からはめて応急措置となったが、何ともこの扉触れたら倒れるという、危なっかしいモノになってしまった。かなり新しいタイプの鍵が付いていた臨也の部屋は、誰でも侵入可能な部屋になってしまった。


「よし、これで良いだろ?」

「何がどう良いのか本当理解できないけどね」

「おい!!」

「……なに」

「エロい」

「は?」


まじめな顔をした静雄は、臨也に顔を近づけるとじーっと見つめてつぶやいた。


「やらせろ」

「いや」

「俺の方がいやだ」

「………本当信じられない」


そう言ってゆっくりと静雄の首に手を回す。臨也の腰に手を当てて、抱きしめれば自然と近づく唇に目をつぶって応える。なんだかんだ言って静雄に甘い。





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