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Happy birthday "orange cat" for three years!
Celebration this...<3



「あー…今日19日か」
「あ?」
「いや……」
 
こめかみに触れている腕が熱い。彼はいつでも子どものような体温だった。冷え性で寒がりなローにとって彼は、湯たんぽ代わりでもあった。
 
頭上ではもうそんなにか、とかやべえ、とかぶつぶつ言う声が聞こえる。
冷房が効きすぎている。シーツは腰から下、しかも彼と半分ずつしか掛かっていない。少し汗ばんだ肌が粟立った。
 
頭に敷いている腕をぷにぷにと触ってみる。筋肉質なせいかごつごつしている。固い。ユースタスはにやにやと笑いながら見下ろしていた。
 
「二の腕好きなのか」
「別に」
「へえ? 楽しそうだな」
 
大きな手が頬を包む。顔はまだにやにやしたままだ。鬱陶しい。頬にある手をつねってやる。歪んだ顔に少しだけ気が晴れた。
 
「お前」
「何だ」
「眉毛剃ってるのか」
「…………剃ってねえ」
「じゃあ何で……」
「うるせえ!毛根死んでんだよ!」
 
噴き出してしまった。ずっと剃っているのだと思っていたので、意外だった。化粧もしていないと、ただのヤクザである。
笑ってんじゃねえ!と腕を掴まれそうになったが、何とかすり抜けて掴み合った。お互い自由になるのは片手だけだ。
 
暫く睨まれていたが、こちらにはそんな気毛頭ない。それを感じ取ったのか、ため息をついて手を離した。少し笑って、頬を触った。彼も自由にさせていた。

「何かあるのか」
「あん?」
「19日」
「あぁ……そんなに経つのかと思っただけだ」
 
あまり似つかわしくない顔だった。微笑み、という表現が一番近い。
頬にある自分の手に、彼の手が重なる。温かい。熱い。触れているところがじんわりと熱を持つ。それが次第に広がって、顔まで上気する。
 
「そんなに?」
「一緒に住みだしてから」
「覚えてるのか…女みたいだな」
「違えよ。夏休みの始まりだっただろ。……覚えやすかっただけだ」
 
やっぱり覚えてるんじゃないか。そう言って笑うと、彼も照れくさそうに笑った。それからうるせえとか何とか言って、顔を隠した。子どもみたいだ。
 
「長いな……」
「一瞬だったけど」
「……ああ」
 
確かにこの三年はとても短かったような気がする。まだ始めたのが昨日のことのようだ。
色褪せない。二人も記憶も全て。昨日と三年前と変わらない。
 
来年もこうしているだろう。再来年もその次も、そのまた次も。きっとこうしているだろう。
 
それは色褪せない、確かな記憶。
 
 
memory of together with him
- and next year !



三周年おめでとう!
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