短編![](//img.mobilerz.net/sozai/1174_b.gif)
※…背後注意
◎…その他
an artificial smile
「おはようございます、坊ちゃん。」
黒いの長身の…
寝起きなのもあり、ぼやけてよく見えない…
「…ん」
その黒い正体はファントムハイブ家に仕える執事、セバスチャン・ミカエリスだった。
「本日の予定はダンスレッスンが午前中に入っております。午後からはファントム社の新メニューについての会議が…」
「…ダンスはいい。後日に回せ。」
「…御意。」
いつもの朝、いつもの場所。
セバスチャンと会ってから変わらない毎日。
「坊ちゃん、女王陛下からお手紙が届いております。」
「陛下から?読んでみろ。」
女王の憂いを排除する…これも僕の仕事だ。
「…坊ちゃん、これは今までで一番難しいかもしれませんね」
「なんだって!?一体何が書かれ―」
「今日一日で100回笑顔を見せなさい…とのことです。」
「!?」
笑顔?
笑顔なんて、笑い方なんて当の昔に忘れている!
…何故女王はそんなことを...
「坊ちゃん、私に向かって100回笑うというのはどうでしょう?」
「…何をふざけている」
「ふざけていらっしゃるのは女王陛下では?」
「お前…ッ!」
ぎゅうううっ!
セバスチャンが頬をギュッとつまんできた。
「何っ…するんだ!放せ!」
「笑ってください?坊ちゃん。」
その後は地獄と言ってもいい程だった。最悪そのもの。
セバスチャンにずっと頬をつかまれ笑うまで放さなかった。
「…坊ちゃん、もう夜ですよ?最後まで笑わないとは素晴らしいですが、女王陛下の憂いが―」
「ふざけるな!あの手紙はお前が作った物だろう!」
「今頃お気づきとは、随分と…鈍いのですね?坊ちゃん…」
「お前…ッ!遊んでいたのか。」
奴は顔に笑みを浮かべていた。なんとも腹が立つ笑い方で。
「…もういい。お前のせいで疲れた。寝る。」
「全く、坊ちゃんといったら…無理矢理な笑顔を見るより、無防備な寝顔のほうが可愛らしいですね。」
なんだか唇に触れたような気がした。気のせい…だったか。
=END=
2010.12.01
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