短編![](//img.mobilerz.net/sozai/1174_b.gif)
※…背後注意
◎…その他
贈りのもの
3月。
毎日が寒かった冬とは違い、太陽の温かさを感じる。
ファントムハイヴ家の庭にも春はすぐそこまでやった来ていた。
セバスチャンは街へ買い出しに出ていた。
「坊っちゃーん!!え、えっと…アルじゃなくて、フラ…?なんとかさんから荷物がとどきました!!」
「…差出人の名前も覚えられないのか。」
シエルはそんな使用人、フィニアンに深くため息をついた。
荷物を受け取ったにもかかわらず、人の話もろくに聞けない、覚えられないとなると、あきれるしかなかった。
「中は何だ?」
「植物のようですね。」
後ろからセバスチャンの声がした。
荷物をじっと見ている。
「…帰ってきていたのか。…植物?食用か?」
「あなたの頭の中には鑑賞用という言葉は無いのですね。」
「五月蝿い。」
シエルはセバスチャンをギッと睨んだ。
その間にセバスチャンは荷物を開けた。
中には白色の花が入っていた。
「エリカの花!」
「エリカの花?何だそれは?」
「フィニも名前だけなら知っているんですね?この花は…ヨーロッパ原産のものですね。あまり出回らないと聞いたのですが。」
「…エリカ」
シエルは何か思い出したようにつぶやいた。
「…あの死神か。この花のことを話していたのは。」
「そうでしたね。坊ちゃんに何か意味しているのですかね…?」
「どういう意味だ。」
「花言葉の中には、孤独もあれば、幸福な愛もあります。」
セバスチャンがシエルを見て含み笑いをする。
何か考えているに違いない。
「…」
「私たちは幸福な愛のほうをとりましょうね?」
「何をふざけたことを。愛など…」
「私たちの間の愛をもっと実らせなければ。ということで坊ちゃん、寝室に行きましょう!!」
「ふ、ふざけるな!」
シエルの顔が赤くなる。
「ふざけていません。…調子に乗っているだけですよ。」
ひょいっと持ちあげられ、2人は寝室に。
真昼間から、2人の愛は…
…はたして、差出人は誰だったのだろうか。
「街で見つけてきた花は、やはり良かったですね。」
ある執事が微笑んだ。
=END=
2011.3.2
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