短編
※…背後注意
◎…その他
口に出来ない
「おはようございます、坊ちゃん。」
「…」
「…おはようございます、坊ちゃん!!」
「…。」
セバスチャンに向けて手を挙げる。
いつもなら一声かかるところだが、シエルは無言だった。
「…昨日、おやつを取り上げたのがいけなかったのですか?」
「…」
フルフルと首を振る。どうやら違うようだ。
「では何事ですか?…まさか昨日のスケートを無理矢理、坊ちゃんのわがままでやったのが原因で、風邪などをひかれたなんて言いませんよね?まさかね?」
「…」
図星だったシエルはもちろん何も言えない。
「38度5分…声が出ないなんて風邪以外の何があるんですか!?」
「…ぅ。」
「言葉が話せないなんて…子供以下ですよ?坊ちゃん。」
「…」
反論したいが口では出来ない。
バシッ
「嗚呼、口では無理だからと今度は体で反論ですか。…じゃあ私ま身体で答えましょうか?」
いきなり、ベッドに押し倒す。
シエルは言いたいことも言えず、力は敵わず…散々だった。
「や、やめろっ!!」
心の中で叫んだ言葉だった。
「…何も話せない坊ちゃんとは、つまらないですね。やめましょう。」
「!?」
別に期待していたシエルではなかったが、“つまらない”という言葉にひっかかった。
「…!!!」
シエルがセバスチャンに紙を渡す。
【風邪が治ったら覚えておけ!!!】
そう書いてあった。
「…坊ちゃん、貴方には負けませんよ?」
「!?」
セバスチャンが不気味な笑みをした。
風邪はもうひかないようにしよう…
そう思ったシエルだった。
=END=
2011.1.12
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