憂鬱と虹

 期待が大きければ大きい程。
 現実が追い付かないと、その分落胆も倍ででかくなる。
 思い知るなら、別の日が良かった。





「……フツーさ……。日付変わると同時にメールじゃね?」

 現在時刻、6月21日の午前0時10分。
 丁度なんてとおに過ぎ。
 それでも諦めず、携帯を見続ける事早10分。
 今だ、平次専用の着メロが鳴る気配はない。

「……まさか……」

 業を煮やし、素早く押した短縮一番。
 十数コールの後、聞こえて来たのは寝惚け声。

「くろばぁ……?なんや、どないしてん……」
「……寝てたな」

 携帯を持つ手が、ふるふると震える。

「そら寝てるやろー。今何時や思ってんねん。12時過ぎてんねんぞ」

 んなこた解ってんだよ。
 ぷち、とどっかが切れそうになるのを堪え。
 冷静な声を何とか保つ。

「平次。今日、何の日か知ってる?」
「はぁ?」

 何やったっけ……。
 呟く声が聞こえて、その後暫くの無言。

「……もういい」

 眠くて寝てしまった。
 それ自体は仕様がないし、勝手に待ってたオレが悪い。
 けど、だ。

 本気で忘れてた、なんてのは流石に許せない。

「おやすみ!!」
「え、ちょっ……何怒って」

 平次が言い掛けてるのも構わず通話を切る。
 投げた携帯から、すぐさま専用着メロが流れた。
 だが、それすら無視で。 
 不貞腐れた表情全開でベッドに潜って目を瞑る。

 付き合い始めて、初めて迎えた自分の誕生日。
 最悪な気分で、幕は上がった。

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