Anniversary
「ほい」
「……」
どか、と。
快斗の両手に乗せられた箱。
「……これ……」
箱の形からして、間違いなく中身はケーキだろうと思われた。
薄いピンクの飾り紙に黄色いリボン。
リボンの中央には小さな赤い薔薇。
「誕生日おめでとさん、黒羽」
夕暮れの公園。
ベンチに座る、男子高校生二人。
その片方の手にはケーキの箱。
第三者的視点からすれば、この状況は特異なモノかも知れない。
けれど当事者達からすれば、場所なんかはどうでも良くて。
この日、目の前に相手が居る事が幸せだったりする。
「約束したやろ。次は絶対お祝いしたるって」
夕日に染まる笑顔は。
普段見ているそれより、少しだけ優しさも増して見えて。
ここが外でなければ、多分抱き締めていただろうな、と快斗は思った。
[ 21/48 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]