Anniversary

「ほい」
「……」

 どか、と。
 快斗の両手に乗せられた箱。

「……これ……」

 箱の形からして、間違いなく中身はケーキだろうと思われた。
 薄いピンクの飾り紙に黄色いリボン。
 リボンの中央には小さな赤い薔薇。

「誕生日おめでとさん、黒羽」

 夕暮れの公園。
 ベンチに座る、男子高校生二人。
 その片方の手にはケーキの箱。

 第三者的視点からすれば、この状況は特異なモノかも知れない。
 けれど当事者達からすれば、場所なんかはどうでも良くて。
 この日、目の前に相手が居る事が幸せだったりする。

「約束したやろ。次は絶対お祝いしたるって」

 夕日に染まる笑顔は。
 普段見ているそれより、少しだけ優しさも増して見えて。
 ここが外でなければ、多分抱き締めていただろうな、と快斗は思った。

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