HappyChristmas

「おおきに」

 人差し指に通して握り、くっ付いてる黒猫を眺めて。
 非常に機嫌良さ気な服部。

「……なぁ、何でソレな訳?他にも色々あったじゃん……」

 正直、何が良くて選んだのか、黒羽にはさっぱり分からなかった。
 大体にして、こんな乙女チックなモノ、今まで服部の持ち物で見た事が無い。
 服部が、猫から視線を上げて黒羽を見る。

「やって、似てるやろ?」
「は?」

 キーホルダーを持つ手を、黒羽の顔の横に上げて。
 ぱっと手を開くと、黒猫がゆらゆら揺れる。

「ほれ、ソックリや。宝石好きなトコも」

 黒羽の顔と黒猫と、交互に見て笑う。
 その表情と、その言葉と。
 そのどちらもが、いっぺんに入り込んできて。

「……ちょっと待って……うわ、すげー恥ずかしい」

 ドストレートな告白を受けたくらいの衝撃と感情の波。
 それが黒羽を襲って、まともに服部の顔を見ていられない。

「なに?オレなんか変な事ゆうたか?」

 片手で口元を覆って、顔を背けてしまった黒羽に。
 『?』で頭が埋まって、複雑な表情をした服部が首を傾げる。

「……マジで、ホント勘弁してよ……オレいくつ心臓あっても足りねー」
「なんやて?意味分から……をわっ?!」

 増々表情に複雑さが増す服部を、思い切りぎゅっと抱き締めて。

「愛してるっつったんだよ」

 耳元で囁く。

「わ、アホっ。人が見……っ」
「見せつけてやりゃいいじゃん」

 逃げようとする体を、放さない様に腰でしっかり抱いて。
 顔を向い合せてにこりと笑う。
 服部の顔が引き攣っているのが見えた。

「見せつけるゆうより見せモンになっとるわっ!!」
「ははは、じゃあ笑い取らなきゃ」

 暴れる相手の唇に、ちゅっと啄む様なキス。
 途端、固まった服部と、あちこちから悲鳴か歓声か分からない声。
 一寸して。

「……っ!もっぺん高熱出してあの世逝けーっ!!」

 平次の怒号が街に響いた。



 聖なる日を過ぎて、年明けに向かい慌ただしい街で。
 1年365日全てがお祭り。
 街騒にも負けない元気な二人は。
 時に派手な喧嘩をしても、その愛だけはずっと消えない。

[ 37/48 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -