HappyChristmas
「クリスマス終わったら、一気に正月モードだもんな。つっまんねーの。どっかド派手なイルミネーションとかやってねーかな」
昨日までの煌びやかさとは一転、実に日本らしい装飾に変わった街を二人で歩む。
「ド派手なぁ……。ルミナリエはとうに終わってもうたし……。御堂筋のイルミネーションやったらまだやっとるけど……あとはHoopのイルミネーションゲートか」
「じゃ、今夜はそこで決まり」
昨日、あれだけぐったりしていた人物とは思えない。
それ程には元気に回復している黒羽に、取り敢えず安心はするものの。
「病み上がりで無茶したらあかんぞ」
危なっかしさがどうにも拭えない。
そんな自分が、たまに本気で母親に思える。
服部は一人、気付かれないよう小さく溜息を吐いた。
「あー、そうだ。プレゼントも買いに行かねーと。平次、何が欲しい?」
「もう貰ったし別にええ」
「駄目駄目。形が残るモンもあげたいんだよ、オレは」
大体にしてクリスマス終わったやんけ、と言いたかったが。
言った所で聞きそうにもない黒羽の表情に、やれやれと肩を落として。
「したら、キーホルダーがええ」
言って、目に入った適当な露店の前でで立ち止まる。
可愛らしいものからデザインの凝ったものまで。
様々なキーホルダーがそこには並ぶ。
「何、バイクのキーにでもつけんの?」
「アホ言え。トップブリッジ傷だらけになるやんけ」
服部の肩越しに棚を眺めて。
黒羽もその中で目に入ったものを、適当に手に取ってみた。
「カラビナなら平気じゃね?乗る時だけ外せばいいんだし」
「あー……まぁ、確かに……ほんならコレにしよかな」
言いながら手にしているモノを見て、その意外性に黒羽の目が一瞬丸くなる。
「……え。ソレ……?」
「え。アカン?」
「いや……駄目じゃね―けど……」
カラビナに小さな輪っかで、これまた小さな黒猫がぶら下がっている。
ついでに、ベビーリングっぽいモノもおまけでぶら下がっていた。
相当乙女チックに見えるのは、恐らく黒羽の気のせいではない。
「ねえちゃん、これなんぼ?」
呆気にとられているうちに、止める間もなく店員に声を掛けてしまっているものだから。
何だかよく分からない内に支払いをして、可愛らしいキーホルダーを服部の手に渡していた。
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