たまには普通にデート計画「2日目」
日曜のこの時間は、まだ駅のホームも人がまばら。
も少ししたら混み出すんやろうけど。
明日は学校。
早よ帰らなオカンが喧しいし。
一緒に居れる時間はいつも短い。
もうすぐ発車のベルが鳴る。
したらまた暫く離れ離れ。
繋がるのは電話とメールだけ。
「冬休みは大阪来ぃ。ほんで、春は京都。夏は……―――」
オレの言葉を遮って、工藤がぽんと頭を撫でる。
「今決めなくても、そん時も隣に居るから大丈夫」
に、と笑うその顔が。
みな見透かしてるみたいで何やムカつく。
やっぱ先を歩かれてる気ぃする。
「誰もそんな心配してへん」
「あ、そ」
払い除けて視線を外した瞬間、発車を告げるベルが鳴る。
ざっと見渡す限り、視界に入る位置に人は居てへん。
おし、今なら完ぺき死角。
掠め取るように口付けて。
離れたとこで扉が閉まる。
呆気にとられたその顔に、ちょっとだけ勝った気ぃになった。
二泊三日の普通デート旅行。
全日程終了。
次は、何日会えるかな。
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