たまには普通にデート計画「2日目」
乗ってもーたもんはしゃーない。
こうなったら楽しんでなんぼやろ。
「たっかいなぁ、この観覧車。まだ天辺着かへんで」
どんどんちっさくなってく建物と人。
「今ぐらいに乗ると、ライトアップされてるから景色も綺麗だろ」
工藤のゆう通り。
宝石箱みたいな景色は、女子やなくても見とって楽しい。
「はは。こーゆーのん見てると、ホンマにデートしてるみたいや」
「みたいなんじゃなくて、デートしてんだよ」
じとり見てくる目ぇに、気ぃつかへんフリして笑顔を向けて。
また視線を戻した窓の外。
主軸が近付いてるのが見える。
「お、もうじき天辺」
漫画とかドラマとかやったら、天辺着いたらちゅーがセオリーやな。
とか思いながら呟いたと同時くらいやと思う。
両頬掴まれて、無理矢理向き変えられて。
セオリー通りの事をされたんやな、と気ぃ付いたと同時に、工藤の肩越しに次のワゴンの奴と目ぇが合うたんは……。
「……工藤」
オレが固まってんのは、ちゅーされたからとちゃうんやで。
お互い見えんようになるまで、次のワゴンの奴と目ぇが合うてたからや。
「……遊園地デートのお約束」
自分でしといて微妙に照れとるのがムカつく。
好きにせぇ思ったオレがアホやった……。
「……アホやろ。後ろの奴にめっちゃ見られとったやないかい」
「わかんねー、わかんねー。暗いし問題ナシ」
こんだけライト光っててそらないわ。
オレが目ぇ合うてる思ったんやから、アッチからも同しに見えとった筈や。
「そう思ってんのはお前だけやって。あー……ひく」
「ひくとか言うな」
せっかく景色で楽しんどったのに。
めっちゃ沈む。
頬膨らまされても困るわ。
「観覧車ゆうた時から、どーせこんなこっちゃ思っとったけど……ホンマにするかぁ?」
「する」
満面の笑顔でゆわれて、怒る気力すら尽きた。
「……そうやんな」
溜息吐きながら、窓の外、近付く地上を眺める。
ちゅうか。
やっぱコイツ何も考えてへん。
昨日も今日も、考えてるのオレばっかりや。
その後見た花火は綺麗やったけど。
正直あんま覚えてへん。
楽しみにしとってんけどなぁ……。
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