たまには普通にデート計画「2日目」
体力もたんわ。
伝えて、早い晩飯を兼ねて入ったレストラン。
食ってすぐまたコースターとか言われたら洒落にならんし、食うのに無駄に時間かけて、その後は取り敢えず色々話して。
出た時には、園内がライトですっかり華やかになっとった。
「空、真っ暗だな」
「花火何時やったっけ?観て帰るんやろ?」
天を仰いでた工藤が、腕時計に視線を落とす。
花火は本番の夏もええけど、寒くて空気が澄んでる季節もよう映える。
アトラクションよかコッチのが楽しみかもしれん。
「ああ。19時だからまだちょっと先」
「したら飯も食ったし、何してよ。土産屋でも見とこか?」
絶叫系だけは絶対行かん、の意味を込めての土産屋チョイス。
けど、工藤は科学と宇宙の島の方を見てなんか考えてる様子。
アッチにはコースターがある。
それだけはホンマに堪忍してや、と横顔に願う。
「あー、いや。アレ乗ろ」
工藤が指差した方向を、祈りを継続しつつ見る。
コースターと違う。
違うけど。
「……ベタやな」
煌びやかに輝いて回るそれ。
「なに。イヤなのかよ」
確認して乾いた笑いを浮かべるオレに、相当不満気な声が届いた。
「イヤやないけど……男二人で観覧車とか……」
ただでさえ、遊園地に男二人も微妙やゆうのに。
毛利のねえちゃん……工藤めっちゃロマンチストやんけ……。
何を見てたんや、あの人。
思って眉間を押さえると。
「だから、イヤなのかよ」
不満から怒りに変わりそうな声が聞こえて。
「別に……」
返したら、途端上機嫌な声と顔。
「じゃ、行くぞ」
もう好きにせぇや、とそん時は思った。
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