たまには普通にデート計画「2日目」

 体力もたんわ。
 伝えて、早い晩飯を兼ねて入ったレストラン。
 食ってすぐまたコースターとか言われたら洒落にならんし、食うのに無駄に時間かけて、その後は取り敢えず色々話して。
 出た時には、園内がライトですっかり華やかになっとった。

「空、真っ暗だな」
「花火何時やったっけ?観て帰るんやろ?」

 天を仰いでた工藤が、腕時計に視線を落とす。
 花火は本番の夏もええけど、寒くて空気が澄んでる季節もよう映える。
 アトラクションよかコッチのが楽しみかもしれん。

「ああ。19時だからまだちょっと先」
「したら飯も食ったし、何してよ。土産屋でも見とこか?」

 絶叫系だけは絶対行かん、の意味を込めての土産屋チョイス。
 けど、工藤は科学と宇宙の島の方を見てなんか考えてる様子。
 アッチにはコースターがある。
 それだけはホンマに堪忍してや、と横顔に願う。

「あー、いや。アレ乗ろ」

 工藤が指差した方向を、祈りを継続しつつ見る。
 コースターと違う。
 違うけど。

「……ベタやな」

 煌びやかに輝いて回るそれ。

「なに。イヤなのかよ」

 確認して乾いた笑いを浮かべるオレに、相当不満気な声が届いた。

「イヤやないけど……男二人で観覧車とか……」

 ただでさえ、遊園地に男二人も微妙やゆうのに。
 毛利のねえちゃん……工藤めっちゃロマンチストやんけ……。
 何を見てたんや、あの人。
 思って眉間を押さえると。

「だから、イヤなのかよ」

 不満から怒りに変わりそうな声が聞こえて。

「別に……」

 返したら、途端上機嫌な声と顔。

「じゃ、行くぞ」

 もう好きにせぇや、とそん時は思った。

[ 223/289 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -