たまには普通にデート計画「2日目」

 たまには普通にデートしてみよう計画2日目。
 今日はトロピカルランド。
 朝一で来たから、比較的空いてる。

「さて、どこから廻る?」

 工藤に訊かれて、取り敢えずパンフを確認。
 
「順路としたら、冒険と開拓の島か野生と太古の島から廻った方が、戻って来るかっこになるから楽やけど」

 ざっと眺めただけやと、数が多過ぎて何が何かよう分からん。

「お前は何乗りたい?」
「んー……怪奇と幻想の島んとこの宝探しとシューティングかー、科学と宇宙の島の不思議館かー……」
「……つーか、乗り物じゃねぇな、全部」

 乗り物は大体、何処の地域の遊園地も似たり寄ったりやから、そこにしか無いようなモンなら乗りたい。
 けど、それより一緒に遊べるモンがええな、って思ってんけど。
 通じてへんな、これ。

「まぁ、オレが行きたいのは全部手前のゾーンやから、工藤が乗りたいモン先に行こ」

 パンフを閉じて、この場所をよう知ってる工藤に任せる事にした。
 その方が楽や。

「オレが乗りたいモノ……ねぇ」

 顎に片手を添えながら、少し考えとったけど。
 一人で勝手に頷いて。

「じゃ、まずは冒険と開拓の島からな」

 笑顔で言うと、さっさと歩き出す。
 隣に居ると見失う危険もあるから、一歩後ろくらいを着いて歩った。



「……ちょーたんま。ちと休も、な?」

 降り口前のベンチに腰掛けて天を仰ぐ。
 
「んだよ。もうへこたれたのか?」

 工藤の不満そうな声が聞こえるけど、そっちを向く気力も無い。

「いや……絶叫系は苦手ちゃうけど……流石に胃がキモい」

 工藤に任せとったら絶叫系の連発。
 まぁ、それは全然かめへんのやけど。
 前後に揺れるだけのあの船はもう……さっき食うたモンがあがってきそうや。
 
「ったく、乗る前に甘いモンとか食うからだろ」

 ご尤も。
 
「せやかて、美味そうに見えてんからしゃーないやんけ」

 こーゆートコ来ると、普段どーでもええもんが妙に美味そうに見える事あるやんか。
 雰囲気っちゅうの?
 これは食うとかな、みたいの。

「なんか飲みモンでも買って来るか?」

 覗き込んで来る顔に。

「あー、ええ。少し休めば平気」

 答えて手ぇをひらひら舞わしたら。

「そ」

 心配してやったのに、って声が聞こえそうな顔。
 ホンマに心配してくれるんやったら、連続で絶叫系とかやめてんか。
 次はもう一回ミステリーコースターかな……とか呟いてんの、今ハッキリ聞えたで。

 しかも結局。
 なんべん同しの乗ったら気ぃ澄むねん、ちゅうぐらいコースターとかばっか(嫌やゆうたのに船も)乗って。
 不思議館で平衡感覚無くした時は、乗り物でもないのに、もうえずいてホンマにあげるか思ったくらいや。

 二度と遊園地は工藤と来えへん。

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