たまには普通にデート計画「1日目」

 違っているから惹かれて。
 違っているからこそもっと知りたい。

「って、何でもいいっつったからって、なんだよこの斑アイスは」

 ブルーが主体で、赤やら紫やら……とにかく色んな色が混じってて。
 それでいてぼんやりしたアイス。

「ミスティーマーブルやって。一個で色んな味してお得やぞ」

 もはや名前からして危険な香りがするのは気のせいか。
 匂い自体は恐らくラムネ。
 白い粒々もラムネだろう。

「で、自分はバニラか」
「ソルトバニラや」

 自分のアイスと服部のアイスを見比べる。
 あきらかにそっちの方が美味そうだ。
 実際、食ってる顔が美味そうだし。

「交換しろ、交換」
「えー、イヤや。もう食うてるし」
「気にしないから交換」
「イヤや、って」

 ケラケラ笑いながら、伸ばした手を避けるように一歩下がる。
 
「待てコラ」

 それを更に追いかけようとして。

「ほれ、工藤。溶けてる!手、手」

 指差しながら言われて、アイスを持つ手を見る。
 溶け始めたアイスが手首近くまで流れていた。

「あ」

 袖口に付く前に、慌ててそれを舐め取って。

「……美味い?」

 覗き込むようにして訊いてくる瞳に、口に広がる味に愕然としながら答えた。

「……粘土の味がする……」

 いや、粘土は食った事ないんだけど。
 でも例えるなら、粘土のあの臭いの味。
 それ以外思いつかない。

「うわははは、何やそれ!大当たりー!」

 オレの返答に、一瞬きょとっとしていたが。
 次の瞬間には大爆笑して喜んでいる。
 ホント憎らしいったらありゃしねえ。

「お前、責任持って全部食え!」
「何でもええゆうたん工藤やろ。自分で責任持ちー」

 夜の広場。
 高校生男子二人がアイス持って追いかけっことか。
 実際どうなのこの光景、とか思うんだけど。

 溶けたアイスが袖にも付いちゃって、もうベトベトだったりもするけど。
 何だか楽しいからどうでもいいか、と思う事にして。
 周りの目も忘れて、二人でいっぱい笑った。

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