たまには普通にデート計画「1日目」
映画が終わったのが18時過ぎくらい。
現在時刻19時近く。
「で?興味は持てたのかよ」
一応訊いてみるけど。
「いや、全然」
に、と笑って。
思った通りの返答に、少しだけ脱力。
「……だから言ったのに」
自分は愉しんでただけに、少しだけ申し訳なく思ってしまうのは、たぶん普通の反応だと思う。
「けど、工藤は楽しそうやった」
そんなオレの心境なんか考えてもいないかのように。
ニヤニヤしながら服部が言う。
「はあ?お前は何を見てたんだよ」
「工藤の顔。色んな顔しとっておもろかった」
「……金払って見るようなモノかよ、それ」
「オレがそんで良ければええんちゃうか?」
一人何かを思い出しているのか、声が出ないように、口元を押さえて笑っている。
小さく動く肩と、その姿が何かムカつく。
「意味分からねえ」
ムカつくんだけど。
2時間近くも、殆どオレだけ見てたんだ。
思ったら少し嬉しかった。
違っているから分からなくて。
違っているから悩むけど。
「工藤、アイス食わへん?」
唐突に訊かれ、指差す方向を見れば、アイススタンドが目に入る。
「え。寒いんだけど」
この時期、この時間ともなれば少し肌寒いくらいで。
日中ならともかく夜にアイス、それも外で食いたいとは思わない。
「寒いからこそのアイス。何がええ?買うて来る」
思わないのに。
拒否権ゼロか。
「……なんでもいい」
やれやれと息を吐きながら、ひらひら片手を舞わせて適当に返し。
小走りにスタンドに向って行って、嬉しそうにアイスを選んでいる。
その後姿をただ眺めた。
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