たまには普通にデート計画「1日目」
服の好みも、食い物の好みも。
好きな作家も、好きな音楽も。
何もかもが違ってる。
それぞれが嫌いと言う訳ではないけれど。
だからと言って、特別好きな訳でもない。
「なあ、オレ達って本気で好みバラバラだな」
「そーやな」
オレはグラタンとパスタ。
服部はうどんとどんぶり。
何この掠りもしない食事。
「何で一緒に居れるんだろ?」
たまに本気で不思議に思う事もあるんだけど。
「バラバラだからちゃうの」
服部が『何を今更?』な顔で言う。
それが答えなんだろう。
全部同じなら、それもきっと楽しい。
けれど、それ以上がない。
同じ方向を見て、見つけて行く事は出来るけど、違う方向を見ているよりはきっと減る。
その分、ぶつかり合う事も同時に増えるんだろうけど。
きっとそれすらも、後々楽しい。
「この後どうする?」
食事を終えて、一息ついて14時過ぎ。
家に帰るにはまだ全然早い。
「工藤、観たい映画あるゆうてたやんか。それ観に行こ」
少し考えた後に服部が言う。
その言葉にちょっと驚いた。
「え。だってお前、あんま興味ないっつってたじゃん」
「オレはな」
「だったら行っても時間が無駄だろ。いいよ、今度一人で行くから」
付き合ってくれようとするのは嬉しいけど、2時間も退屈にさせてもしょうがない。
せっかくコッチに出てきてくれて、まともにデートしてるのに。
思って言ったけど、服部はただ笑みを浮かべてて。
「何で?工藤が興味あるモンがどんなかまた一個知れるし、実際に観たら興味持つかも分からんで」
そう言うから。
それ以上続けても意味は無いと悟った。
「あ…そう」
「そう」
絶対興味なんて持たねークセに。
思ったけど、これは口にしなかった。
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