たまには普通にデート計画「1日目」

 今日は買い物デーと言う名のデート。
 次のシーズン用のジャケットを見ようと、今はとあるビルの中。
 ウインドウショッピングも兼ね、目に付いた店に片っ端に入っている。

「工藤、これは?」

 一着手にして服部が振り返る。

「どれ?」

 それを当てられ、眺めて固まる事数秒。

「よう写ってんで、旦那」

 本気で言っていたらどうしよう。
 そう思うようなデザインなのは、これ系の服に興味が無い故の嫌がらせなんだと信じたい。

「いや、オレ的にはコッチのデザインの方が……」

 一応、自分好みの服を当てて見せるけど。
 思い切り興味ないのが丸分かりに眺めて。

「ふーん。やっぱお前の服の好みはよう分からん」

 呟くと、スタスタと隣の店に行ってしまった。

 うん、取り敢えず。
 オレはお前の感覚がよく分からん。

 興味無さそうな目が、似合わないと言っているように思えて。
 結局、買わずに服部の向った店に行く。

 カジュアル系の服がズラリ並んだ、いかにも服部が好みそうな店。
 よく見れば、ユニセックスなデザインも結構ある。

「服部、これは?」

 こーゆー可愛い系のデザインも似合いそうだ。
 ってーか、着てるのが見たい。
 思って差し出すと、服部の眉根が思い切り寄った。

「え、何それ。女子服ちゃうんか」
「いや、ここ紳士服売り場」
「オレそーゆーの好かん」
「あ、そう」

 自分で似合わないと判断すると、ちょっと着てみようとかもしないんだな。
 実は結構似合うと思うのに。

 ちぇ、と呟いて服を戻して。
 服部が選んだ服を眺めれば、『お前それ持ってね?』と思うような服ばかり。
 誰かコイツに冒険って言葉を教えてやってくれ。
 

 

「工藤、腹減った。飯食お、飯」

 服部に言われて時計を見れば13時半近く。
 気付けばお昼をとっくに過ぎてたらしい。
 そう言えばオレも腹減ったかも。

「じゃあ場所移動して……―――」

 今から予約もなんだから、あそこのイタリアンだったら……。
 考えてるオレをよそに、勝手に直線上にある店に向っていく服部。

「ええて、そこのファミレスで。どーせ食いたいモンもバラバラんなるし」

 一応デートなんだけど。
 ファミレスかよ……。

「……そうだな……」

 何だろう。
 急激に疲れに襲われて、取り敢えず座れればファミレスでもいいや……。
 そう思えた。

[ 227/289 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -