Permit

「お前ん事忘れとった時もゆうとったやろー?オレ、めっちゃ工藤の事好きやったんちゃうかー、て。ホンマにそうやもん。けど、流石にヤりたいとかまで思ってへんかったし、まっさか自分が掘られるとか夢にも思ってへんかったから…あん時は本気でびびったわ。恐怖なんてモンやないで、アレ。普段出すトコから入ってくるんやで?信じられへん」

 いや、オレがお前を信じられない…。
 なんか、段々腹が立ってきたのは気のせいだろうか。

「………じゃあ、何で朝居なかったんだ。ショックで傷ついて…オレと顔合わせたくなかったんじゃないのか………」

 込みあがって来る感情を、必死で押し殺しながら問う。
 その声は相当低い筈だが、服部はそんな事には気付いていない様子だ。

「いや、オレ次の日練習試合あるって言うの忘れとって。ホンマはあの日最終で戻るつもりやったんや。けど、あんな事になってもうたし、最終なんて間に合えへんし。しゃーないから朝一の新幹線で戻ったんはええけど、寝不足な上に思うように体が動かへんくて……避けたつもりが当たってもーてん」

 ああ、ヤバイ。
 完全に押し殺しておくの無理かも……手が震えてきた…。

「…オレの記憶だけ、失ってたのは…?」

「なんでやろ。困らせたかったんちゃうか。仕返しに」

 言葉より先に、オレの拳骨が服部の頭を直撃した。

「いったー!!元はと言えば、工藤が悪いんやろ?!何でオレが殴られんねん!!」

 困らせたかっただけで、こんな壮大な事をされたんじゃ、たまったモンじゃない。
 ホントに、オレの苦しみを返せ…。

 盛大な溜息と共に、一気に力が抜けた。



 その夜。
 更に仕返しで、服部をもっと酷い目に遭わせたのは言うまでもない。

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