TIME AFTER TIME
その声は、よく知っている。
「工藤はいつ来るねん!もう、家教えろや。オレが直接出向いたる!」
初めての声。
けれど、懐かしい声。
ゆっくりと、扉を開けた。
「…待たせたな。オレが……お前の会いたがってた、工藤新一だ」
「お前が…?」
今は、夢じゃない。
「……ほんま、会いたかったで」
挑発的な声と瞳。
ああ、そうだ。
初めの君は、そうだった。
「ああ、オレもだよ。服部」
久しぶりに呼んだ、その名前。
そしてきっとまた、ずっと呼ぶ事になる名前。
「なんや、オレの事知っとったんか。したら話は早い。どっちが上か、勝負しようやないか」
だって『大丈夫』と、君は言ったから。
「………また、最初からかよ。面倒くせーな」
ぽつり、小さく呟く。
「え?なに?」
怪訝そうにこちらを見る、その瞳に笑みを返した。
「何でもねーよ」
君の言う通り。
また、巡り合えたから。
二人で一緒に。
失った時を、取り戻してゆく。
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