TIME AFTER TIME

 目覚めて知った。
 あの日から、3ヶ月しか経っていなかった事。
 トロピカルランドで、俺が気を失った…あの日から。

「もう目覚めないかも知れないって言われて………本当、良かった…」

 蘭の、何度目かの涙。
 胸がこんなにも痛むのは、恐らくそのせいではないだろう。

「服部」

 一人、深夜の病室でその名を呼ぶ。

「服部」

 もう一度。

 月が、ただ優しく輝いていた。



 目覚めた後、体力が回復するまではそれ程かからず。
 すぐに本当の日常は戻ってきていた。

 毎日学校に通って。
 友達と他愛の無い会話をして。
 組織なんて関係なくて……。

 ただ繰り返される、服部の居ない、日常。

 家で着替えをしてる所に携帯が鳴る。

「蘭?なんだよ、どうした?」

『それがね……ちょっと新一、お父さんの事務所まで来てくれない?』

「なんだ?また事件の手伝いでもさせんのかよ?」

 またかよ…と。
 少々面倒くさそうに言葉を返す。
 コナンであっても、工藤新一であっても、結局手伝わされることに変わりの無い日々。

 まぁ、楽しくないかと言えばそうでもないが。

『そうじゃないの。とにかくお願い、すぐに来て』

 言うと、蘭は一方的に電話を切った。
 仕方なしに手早く着替えを済ませ、家を出る。

 毛利探偵事務所、その扉の前。
 普段は聞こえない声が聞こえてきて、一瞬足を止めた。

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