願い

 独占欲、依存が強いのは自覚している。
 だから、今より距離を縮めるのが怖くて。
 失くした時の、自分が怖くて。
 求められる腕も、求める心も拒み続けた。

 けれど。
 
「好きだよ」

 囁く声。

 瞼に、鼻先に、唇に。

「好きだ。大好き」

 何度も落ちる、キスの雨。

「愛してる」

 瞳を閉じて、感じるようにそれを聞く。

 全て、刻んで、消さないように。
 弱くなった分だけ。
 想いを強さに、変えれるように。
 


 願わくば。
 10年先も、君を愛しているように。
 君に、愛されているように……。



「愛してる」

 消えないで。
 彼の腕の中、そっと祈った。

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