日常

 まだ平次が実家に居た頃。自分の誕生日には、静華がいつもよりちょっと豪華な、平次の好きなものだけの夕食を作ってくれていた。平蔵も、事件や急ぎの案件が無ければいつもより早目に、誕生日ケーキを買って帰って来てくれた。
 普段は少し厳しい2人が、この日だけはとても優しくて。自分が愛されていると深く実感できる。
 それが平次にとっての誕生日と言うもののイメージ。

 一方の新一は。
 誕生日はレストランが予約されていて、デザートの頃に運ばれてくるのは花火のついた大きなケーキ。新一を挟んで座る笑顔の有希子と優作。プレゼントは欲しいと言ったものを毎年必ず与えられていた。
 両親が海外に居る時も、プレゼントと2人からのメッセージカードだけは必ず届いて。二人の愛は常に、思い出と共に形として残る。
 それが積み重なっていくもの。そんなイメージ。

 2人の誕生日は、お互いのその環境とイメージがしっかりと反映されている。
 新一の誕生日には、平次は普段より素直で優しいし、向けてくれる笑顔からは心からの愛を感じる。平次の誕生日には、新一は必ず形として残るプレゼントを飛び切りの笑顔と共に贈ってくれる。
 表現の仕方は違う。けれど、そこにあるのはどちらもお互いへの愛。それは変わらない。

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