日常

 服部平次の朝は早い。
 まだ明るくないうちに目覚め、軽く町内をランニング。その後は庭で素振りの練習。ノルマの数をこなす頃、微かに香る味噌汁の香りが心地良い。シャワーを浴びて戻れば。迎えてくれるのは、できたてのご飯と静華の笑顔。平蔵も揃ったところで始まる朝食は、いつも賑やかだ。
 繰り返し訪れる朝。変わらぬ日常。幸せの時間。

 工藤新一の朝は常にゆっくり始まる。
 目が覚める頃、外はすっかり明るくなっていて。鳥の囀りをBGMに制服へと着替える。リビングを抜け、キッチンへと向かうと。買い置きのパンを焼き、コーヒーを淹れて。ニュースをつけて、新聞を読みながら食べる朝食。
 いつもの朝。慣れた日常。静かな時間。

 二人、全く違う日常を生きてきた。
 だから、生活のリズムが違う。食べ物の好みも違う。1日にあった事を報告する者と、聞かれなければ話さない者。食事は一緒にしたい者と、一人でも平気な者。
 時々ぶつかるのは当然で、完全にお互いを理解するなんて事はできない。けれど、理解なんてものはできなくていい。喧嘩も、互いの気持ちを知るには不可欠だから。

 そんな二人の、今の日常は……。

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