Way to love

 葡萄の花言葉は数が多いけど、その中に『人間愛』と言うのがある。ブドウ味が良かった、って言葉は、大親友が自分に向けている想いが、それであれば良かったと、そう言う事だろうけど。それは、ただカマをかけるために選んだ言葉だ。

「あん時お前、ホントにブドウ味なら良かった、って思ってたか?」
「うん?」

 動きを止めて。上から真っ直ぐ見下ろした瞳を、流し見るそれが色っぽい。
 目尻に唇を触れさせると、首に服部の両腕が絡みついて。

「思っとった」

 腕に引き寄せられて近付いた唇が、その言葉を一文字紡ぎ動くたび、耳の縁に僅かに触れた。

「嘘吐け。世界に一つだけの、お前だけに向けられたオレの愛その場で食っただろ」

 言いながら、止めていた動きを再開させると同時。服部の唇から甘い吐息と声が漏れ始めて、絡みつく腕の力が強くなる。

「お前の考えてる事なんて、オレにはお見通しなんだよ」

 オレの言葉に。

「オレが、今……思ってる事も?」

 耳元。切れ切れの声が訊く。

「……どうせオレと一緒だろ」

 答えて、髪に口付けると。こちらを向いた瞳が笑う。
 瞳同士で交わす笑み。互いにゆっくりと、その目を閉じて。深く、唇を重ねた。





 今年の服部からのバレンタインのプレゼントはレモンパイ。
 誠実な愛。
 それが檸檬の花言葉。

 楽しい時も、苦しい時も。たとえ傷ついた時でさえ。

「愛してるよ」

 ただそれだけ。いつも変わらず想ってる。

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