Way to love
もっと分かりやすく伝えるなら、チューリップや薔薇の花を1輪でも良かった。でもそれはできなかった。と言うより、したくなかった。
だから分からないように。けど自分だけは分かるように選んだイチゴ味のキャンディー。
それでもちょっとだけ、気付いてくれる事を期待していた。相手は服部だったから。
「何で分かったんだよ。推理オタクだっつっても、分からねえぞ、普通。オレなら分からねえ」
なんてのは嘘だ。服部なら、期待に応えてくれると思ってた。
背後から包み込むように抱いて、首筋に口付けながら言うと。くすぐったいと、少し肩を竦めるようにしながら。
「はなから分かっとったワケやない。お前の為だけに買うた、て工藤言うとったやろ?」
言って、オレの額を指先でつつく。
「言ったけど。それだけで?」
「オレは、お前の為だけ、なんて言わへんかった。まぁ、たまたまポケットに入っとったからやけど。それを言うって事は、そこになんかあるのやろな、って。案の定、その後お前、何もなかったみたいなオレにに一瞬ほっとしたやろ?オレの推理力、なめたらあかんで工藤君」
どや、と瞳が言ってるように見えて。
「間違ってたらどうするつもりだったんだよ」
呆れたように返してやると。
「ブドウ味が良かったって返して、お前考えとったから。正解や思っとったで?工藤の考えとる事くらい、大親友のオレにはお見通しー、ってな」
笑った顔が子供っぽくて。まるであの時の服部が、この場に居るみたいで。思わず、オレもつられて笑った。
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