meet again after a long time

 目覚めて。視線をゆっくり横に向けると、そこには服部が居た。
 ベッドに両手で頬杖をついて、オレを見下ろしながら。なんだか呆れたような表情をしている。

「ねえちゃんの言った通り、24時間で薬切れたみたいやけど……ほんま、どないなっとんねん、お前の身体」
「どうって……取り敢えず熱は下がったっぽい」
「そらそうやろな」

 やれやれと息を吐き、服部が立ち上がる。

「したらもう大丈夫やな。オレ、今日の新幹線で帰るから」
「え?!ちょっ、待て!」

 言って部屋から出て行こうとする背中を呼び止めて。ベッドを降りて追いつくと、腕を掴んで振り向かせた服部の瞳がオレのそれと合う。

「3連休だから月曜まで居るって言ってたろ?!」
「せやから、今日がその月曜日や」
「えぇえっ!!」

 冷静に返す服部。その瞳の色にも特に変化は見られない。言ってる事は嘘じゃない。
 って事は、オレ丸1日寝てたのかよっ。

「嘘だろ。まだなんにもしてねえのに」
「なんも、ってなんや。デートもしたし……これ以上なにする気ぃやったんや、お前」

 オレを見る服部の瞳が冷たい。

 正直、服部は高校生男子とは思えないくらい淡白だ。オレと付き合ってる今でも女の子大好きだし、巨乳好き、美脚好きだったりはするし、その辺りは非常に高校生男子らしいんだけど。

「遠距離なんだぞ。受験控えてんだぞ。ただでさえ、なかなか会えないってのに」
「まあ、うちのオカンが喧しいからなぁ。確かに、前みたいに頻繁には会われへんけど。そんでも、結構会うてる方やと思うけど?」
「違う、そう言う事じゃなくてっ」

 オレとは違って。別に長期間ヤらなくても平気だったりするんだよな、コイツは。
 相手がオレだからか?
 男だから。自分が突っ込まれる方だから。それが理由か?
 なんて、ぐるぐる考えてるオレに。とんでもない言葉が聞こえて、思わず握ってた腕を放しちまった。

「恋人らしい事なら十分したやろ」
「……は?誰が……?」
「お前が。他に誰が居んねん」

 言ってる意味が分からなくて、思わず放心状態になったオレを。服部が覗き込んで、ひらひら目の前で手を舞わす。

「やっぱ、なんも覚えてないんか?」

 言葉で答える代わりに頷くオレに、服部が数度瞬きをした後。

「……またかいな」

 盛大に溜息を吐いて、ガックリと肩を落とした。

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