meet again after a long time

「おかしいわね。本当にただの解熱剤だけれど」

 博士の家に行くと、当の博士は学会に出掛けていて留守だった。

「それにしても……アナタ、やっと戻って普通に生活してたと思ったらまた小さくなるなんて。本当、大変ね」
「うっせー。大体、その解熱剤だってお前の作った薬だろ。ただの解熱剤なワケねー」

 他人事のように言って笑う姿が腹立たしくて、思いっ切り毒づく様に言ってやる。

「失礼ね。博士も飲んだ事あるけど、別に縮んだりしなかったわよ」
「そーかよ」

 ふい、と横を向く。その視界の端には、笑みを浮べたままの宮野が居る。
 そう。居るのは、灰原じゃなくて宮野志保だ。彼女が元の姿で居ると言う事は、解毒剤が本当に出来たと言う事で。オレが昨日まで工藤新一だったと言うのは事実だ。

「なあ。どないしたら元の姿に戻れるんや、コレ」
「それは私にも分からないわよ。だって、工藤君が飲んだのは本当にただの解熱剤なんだもの」
「頼むわ、ねえちゃん。工藤がこのままやと、オレ大阪に帰られへん」
「あら、だったらそのまま工藤君の家に住んだら?」
「アホな事言うなや」

 当たり前のように会話を交わす宮野と服部。今は別に珍しい景色じゃないんだろうけど、オレ的には違和感バリバリ。
 大体。いつからこんな仲良くなったんだ、コイツ等。

「それにしても変ね」
「なにが?」

 口元に緩く握った片手を当て、呟きながら宮野がマジマジとオレを見る。

「何かの作用で身体が縮んだだけなら、工藤君であった時の記憶だけが無くなる筈がないもの」
「……あ、そか。確かにそうや」

 宮野の言葉に同意して、屈んだ服部がオレを覗き込んだ。

「なんで、工藤の時の記憶だけのうなったのやろな?」

 そのままの姿勢で首を傾げる服部に、今オレが言える言葉は一つ。

「んなのオレが知るかよ」

 それはオレが知りたいくらいだ。知ってるなら、こんなにイライラしない。

[ 40/289 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -