meet again after a long time
目覚めると、ベッドに寝かされていて。視線を横に向けると、そこには服部が居た。
体温計を片手に、なんだか固まったままオレを見ている。
「おはよう」
「……おはようさん」
取り敢えず、起き上がって挨拶をしてみるが。答える声のトーンと、オレを見つめる、その表情はやはりおかしい。
「どうかしたのか?つーか、オレはいつ自分の部屋に戻って、ベッドに寝てたんだ?」
訊いてみるけど、服部は瞬きもせずオレを見続けたままで。問いには全く答えない。
「服部?」
首をかしげ、不審気に名前を呼んだ。すると。
「……コレ、オレの夢?」
はっとしたように、瞳に色が戻ると。服部が伸ばした手が、オレの頬に触れた。
「抓ってみてもええ?」
「はあ?」
触れた手で緩く頬を摘むと、服部が真面目な顔で意味分からない事を言ってくるもんだから。
「普通、夢か確かめるなら、自分の頬を抓るモン……だろっ」
「いででででっ」
手を払い除けて近付いて、逆に服部の頬を思いっ切り抓ってやったら。抓られた所を押さえて痛がる服部の目尻に、うっすら涙が滲んだ。
……力入れすぎた……。
ゴメン、服部。けど、朝から変な事言ってるお前が悪い。
「ゆ……夢とちゃう」
「あたりめーだ、バカ。ワケわかんねーヤツだな」
「……せやかて」
頬を押さえたまま。涙の滲んだままで向けられた瞳が、やっぱどこかおかしくて。よく分からないけど、なんかイライラしてくる。
「だって、なんだよ」
そのイライラを隠さない口調で返すと。
「なんで……コナンなんや」
「は?」
また、変な事を言うもんだから。イライラが消える代わりに、オレの頭の中には混乱が生まれた。
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